家庭用の4Kプロジェクタやはがきサイズのプロジェクタに注目 ―― FPD International 2012
2012年10月31日~11月2日,液晶や有機ELなどのフラット・パネル・ディスプレイ(FPD)の国際展示会「FPD International 2012」が,パシフィコ横浜(横浜市西区)にて開催された(写真1).今回はソニー,東芝モバイルディスプレイ,日立ディスプレイの事業統合会社であるジャパンディスプレイが本展示会に初出展するということで,来場者の関心を集めていた.また,最新の技術トレンドを紹介する主催者企画として,東芝,ソニー,アストロデザインが4K×2K関連製品を展示した.また,9.4インチのTFT液晶ディスプレイを搭載したソニーの「Xperia Tablet S」などの体験コーナが設置された.
主催は日経BPで,展示会の来場者数は50,247人(3日間の合計).「Smart City Week 2012」と同時開催された.
●ソニーが家庭用4Kホーム・シアタ・プロジェクタを展示
ソニーは,家庭用4Kホーム・シアタ・プロジェクタ「VPL-VW1000ES」を展示した(写真2).本プロジェクタに搭載している映像表示素子「4K"SXRD"」は,画素ピッチが4μmで,有効ピクセル数は885万ピクセル(水平4,096ピクセル×垂直2,160ピクセル).レンズは「ARC-F(All Range Crisp Focus Lens)」レンズを搭載し,フローティング・フォーカス方式を用いて18枚のレンズを制御している.4K映像表示素子向けのデータベース型超解像処理LSIにより,3Dを含むフルHD解像度の映像信号を4K映像信号に変換する.解像処理のパターン分類手法をデータベースに蓄積・学習することにより,画像に合わせて最適な超解像処理を選択する.
●はがきサイズのプロジェクタ,パソコンなしで投影
住友スリーエムは,はがきサイズの小型モバイル・プロジェクタ「MP410」を展示した(写真3).本プロジェクタの外形寸法は106mm×107mm×43mm,重量は360g(本体のみ).LED光源を用いており,明るさは標準で300ルーメン.解像度は1280ピクセル×800ピクセル(WXGA),投影距離は970mm~3430mmで,最大100インチの投影が可能.
本体には1Wのスピーカと1GバイトのフラッシュROM,microSDカード・スロット,USB,HDMI,ユニバーサルI/O(VGA)端子を搭載しており,JPEGやMP4,WMVなどの各種データをパソコンなしで投影することができる.オプションとして,パソコンとワイヤレス接続(IEEE 802.11b/g/nに対応)するための専用アダプタ「MP410 USBワイヤレス・ドングル」や,40インチの携帯スクリーン「MFS-40」,MP410に対応したリモコンを用意している.
●場所をとらない視線追跡装置,ATMや券売機にも設置可能
トビー・テクノロジー・ジャパンは,コンパクトな非接触型の視線追跡装置(アイ・トラッカ)「Tobii X1 ライト」を展示した(写真4).アイ・トラッキング(Eye Tracking;視線計測調査)とは,人の視線の動きを追い,その人がどこをどれだけ見ているかを測定する調査である.視線の動きから人の思考や無意識な行動を分析できるため,自動販売機の商品の陳列方法やWebサイトの使い勝手の調査などに用いられる.無意識な視線の移動も計測するので,アンケートやインタビューなどでは伺えない人の行動を知ることができる.
本装置の外形寸法は249mm×50mm×48mm,重さは350g.ノート・パソコンやパソコン・モニタに取り付け可能であるほか,ATMや駅の券売機,各種制御パネルなどにも使用できる.オプションとして,アイ・トラッキング・データを可視化できる解析ソフトウェア「Tobii Studio」も提供している.また,独自のアプリケーション・ソフトウェアを開発できるソフトウェア開発キット「Tobii SDK」を,同社サイトより無償でダウンロードできる.
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