計測装置から歪み補正LSIまで,平面ディスプレイを支える基盤技術が一堂に ―― FPD International 2011

北村 俊之

tag: 半導体 電子回路

レポート 2011年11月 4日

 2011年10月26日~28日,液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどについての国際展示会「FPD International 2011」がパシフィコ横浜(横浜市西区)で開催された(写真1).本展示会は,今回で18回目を迎える.最新の技術動向を紹介する主催者企画として,「スーパーハイビジョン対応の4k8k直視型ディスプレイ」や「ゲーム機能を強化したAndroid携帯」,「フルカラーLEDを内蔵した立体オブジェ」などが展示され,来場者の関心を集めていた.昨年に続いて「3Dコーナー」も設けられ,医療向けなどの3Dコンテンツと,3Dレコーダやレンズなどの機器が展示された.

 

写真1 会場受付の様子

 

 主催は日経BP社.また,LED照明を中心とした新照明技術を対象とする「LEDソリューション2011」,消費電力を効率的に制御する技術を集めた「電力マネジメント 2011」,エネルギー利用効率の高い街づくりを目指す「Smart City Week 2011」などの展示会が併催された.

 

●分光測色計がB4相当サイズに小型化

 コニカミノルタセンシングは,外形寸法が378mm×244mm×205mm(B4相当サイズ)とコンパクトな分光測色計「CM-3600A」を展示した(写真2).本装置は,360nm~740nmの波長を10nm刻みで測定できる.高い精度と再現性を実現するため,ダブル・ビーム方式とデュアルチャネル・センサ・アレイを採用した.

 

写真2 コニカミノルタセンシングの「CM-3600A」

 

 本分光測色計は本体にファインダを備えており,ユーザは座った状態で測定位置を確認する.サンプルの測定位置確認用に,白色LEDランプを搭載する.これにより,従来機と比較してファインダから視認しやすくなったという.また,6インチの積分球を搭載する.パソコンとのインターフェースにはUSBケーブルを利用する.

 サンプルの大きさに応じて,ユーザは3種類の測定径(25.4mm,8mm,4mm)を選べる.SCI(正反射光込み)とSCE(正反射光除去)を同時に測定できるヌーメリカル・グロス・コントロール方式を採用しており,4秒で連続測定が行えるという.SCIとSCEの切り替えやフィルタ移動などのメカ可動部がなくなり,保守の手間も軽減した.

 

●レーザ光源を備える手のひらサイズの携帯型プロジェクタを展示

 佐鳥電機は,手のひらサイズのレーザ・プロジェクタ・モジュール「Nexdy L2」を展示した(写真3).外形寸法は64mm×114mm×24mm,重さは170g.開発元は韓国NexDy Tech社.

 

写真3 佐鳥電機の「Nexdy L2」

 

 本プロジェクタはRGBレーザ光源を搭載しており,明るくて鮮やかな映像を投影できる.解像度はSVGA(800ピクセル×600ピクセル),コントラストは300:1,輝度は30ルーメン.256Mバイトのメモリを備えており,最大16GバイトのMicroSDカードを装着できる.

 使用可能ファイルの形式は,MPEG-2,MPEG-4 SP/ASP,H.264 BP/MP/HP,Divx 3/4/5,Xvid.使用可能時間は約50分.アスペクト比は4:3,投影距離は30cm~3mで,映像サイズ(対角)は10インチ~100インチとなっている.

 

●解像度変換LSIに歪み補正機能を追加

 アイチップス・テクノロジーは,歪み補正機能を搭載した映像変換LSI「IP00C813(SCX3)」を展示した(写真4).本LSIは,2チャネルの独立した入出力I-P(インターレース-プログレッシブ)変換機能と解像度変換機能を備える.例えば,PiP(Picture-In-Picture)やPoP(Picture-Out-Picture)などの2画面に対する歪み補正表示を行える.

 

写真4 アイチップス・テクノロジーの「IP00C813(SCX3)」を搭載した評価ボード

 

 入出力共に1080p,WUXGA(1920ピクセル×1200ピクセル),2K1K(1920ピクセル×1080ピクセル)までのプログレッシブ映像,および1080iまでのインターレース映像に対応する.また,制御用のCPUコア,LVDS送信回路,ビデオ・デコーダ,Ethernet,USBインターフェースなどを備えている.CPUコアと映像変換回路の電源は分離されており,待機時の消費電力を抑えられる構成になっている.

 歪み補正のほか,上下左右反転,90°回転,エッジ・ブレンドなどの画像処理機能を搭載する.これにより,複数のプロジェクタを使用した大画面表示にも対応しやすくなっているという.

 

●非圧縮ディスク・レコーダに複数のDVI Dual-Linkインターフェースを装備

 計測技術研究所は,複数のDVI Dual-Linkインターフェースを装備した非圧縮ディスク・レコーダ「UDR-40S-DV」を展示した(写真5).入出力が4チャネルの機種と8チャネルの機種を用意する.対応するビデオ・フォーマットは,解像度が最大4096ピクセル×2160ピクセル,色数がRGB 12ビット,フレーム速度が120フレーム/s(60P×3D).BMPやTIFF,DPXなどの画像ファイル・フォーマットにも対応する.

 

写真5 計測技術研究所の「UDR-40S-DV」

 

 10GビットEathernetインターフェースを介して,パソコンへ画像データを転送できる.本レコーダ専用の制御ソフトウェア(JUDR-40X)を利用すると,記録や再生の制御,映像・音声の収録設定などを行える.さらに,複数台の同期運転制御によるチャネル拡張にも対応する.

 

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