3Dテレビや電子ブックの基盤となる電子製品が続々 ―― FPD International 2010

北村 俊之

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2010年11月12日

 2010年11月10日~12日,フラットパネル・ディスプレイに関する国際展示会「FPD International 2010」が幕張メッセ(千葉市美浜区)にて開催された(写真1).主催は日経BP社.

写真1 会場全体の様子

 2000年以降急成長を遂げているディスプレイ産業は,近年「3Dテレビ」,「電子ブック」,「ディジタル・サイネージ」,「拡張現実(AR)」などの新しい市場や応用が事業化の段階を迎えている.本展示会には,液晶やプラズマ・ディスプレイ,有機EL,電子ペーパなどのデバイスやその応用製品,製造装置,部品,材料などが日本,韓国,台湾,欧米などの各国から出展された.

●裸眼で自然な3D映像を楽しむ

 東芝モバイルディスプレイは,インテグラル・イメージング(光線再生)方式を採用した「グラスレス3Dディスプレイ」を展示した(写真2).インテグラル・イメージング方式とは,視聴位置に応じて位置や角度が異なる複数の映像を同時に映し出す方式である.視聴者は左右それぞれの目で異なる映像を捉えることで,専用メガネなしで3D映像として認識することができる.同社ではこの原理を応用し,独自の映像処理技術により九つの映像(9視差映像)をリアルタイムに生成し,液晶パネルから垂直レンチキュラ・シートを通して映し出すことで,裸眼3D映像を実現しているという.本技術を用いた製品として,「グラスレス3Dレグザ(REGZA)GL1シリーズ」(20V型「20GL1」と12V型「12GL1」の2機種)を12月下旬から発売する予定.

写真2 東芝モバイルディスプレイの「グラスレス3Dディスプレイ」

●電子ペーパにもカラー化の兆し

 米国E Ink社は,カラー表示が可能な電子ペーパ「Triton Imaging Film」を採用した電子書籍リーダを参考展示した(写真3).Triton Imaging Filmは,マイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ上に,透過性のあるRGBW(赤緑青白)カラー・フィルタ・アレイを重ねている.各サブピクセルごとに16階調のグレー・スケール表示が可能で,電子ペーパで4,096色のカラー表示が行える.展示された電子書籍リーダは中国Hanvon Technology社が開発した製品で,9.68インチのカラー電子ペーパ・ディスプレイを搭載している.CPUは英国ARM社の「Cortex-A8」(800MHz動作)で,メモリは128Mバイト/256Mバイトを選択可能.内部メモリ容量は2Gバイトで,外部メモリ用としてmicroSDカード・スロットを用意している.

写真3 Hanvon Technologyの電子書籍リーダ

 富士通フロンテックは,独自の液晶方式を採用した8インチのカラー電子ペーパ搭載携帯情報デバイス「FLEPia Lite」を展示した(写真4).こちらは今回は参考出展とのことで,まだ描画速度などに課題が残っているという.こうしたカラー電子ペーパを採用したデバイスは,2011年春以降に市場に登場するものと予想されている.

写真4 富士通フロンテックの「FLEPia Lite」

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