スマート・メータからヘルスケア,車載機器まで,ARMベース製品の応用例を展示 ―― Freescale Technology Forum Japan 2012(FTF Japan 2012)
●iPodで心電図を表示
Kinetisファミリの最初の製品であるKシリーズについては,オーディオ用途やヘルスケア用途への応用事例が目に付いた.特に目立っていたのは,携帯型オーディオ・プレーヤの「iPod」とセンサを連携させるデモンストレーションである.圧力センサとiPodを接続した高度計のボード(写真6)と,iPodで心電図を表示するボード(写真7)が展示されていた.
写真6 Kinetis「K60」と圧力センサ「MPL115A」,iPodを組み合わせた高度計モジュール
写真7 Kinetis「K53」とiPodを組み合わせた心電図表示モジュール
心電図データの取得にはKinetis「K53」マイコンを使っている.自動車レースである「ポルシェカレラカップジャパン」では,レース走行中にドライバの心電図を取得し,第3世代携帯電話網(3G網)を使ってデータを無線送信してみせた(写真8).なおポルシェカレラカップジャパンのシリーズでは心電図の取得のほか,車載カメラによる360度サラウンド・ビュー映像の取得や,車載カメラのビデオ・ストリーミング送信,ドライバの筋電図モニタなどを実施している(写真9).
写真8 ポルシェカレラカップジャパンにおけるフリースケールの活動
写真9 ポルシェカレラカップジャパンに出場している車両
2012年のシリーズに出場している車両そのものを展示していた.
●4画面に画像データを同時出力
マイクロプロセッサについては,ARM Cortex-A9コアを内蔵するハイエンドのマルチメディア・プロセッサ「i.MX6」の展示が注目を集めていた(写真10).4個のCortex-A9 CPUコアと3個のGPUコアを内蔵する「i.MX6Quad」プロセッサを動かして,4枚のパネルに画像データを送出する.
写真10 i.MX6Quadプロセッサについて説明した展示パネル
1枚の画像データはフルHDビデオ(1920ピクセル×1080ピクセル),もう1枚の画像データはXGAビデオ(1024ピクセル×768ピクセル),それからXGA(1024ピクセル×768ピクセル)の3次元グラフィックス,最後はWVGA(800ピクセル×480ピクセル)の2次元グラフィックスである(写真11).最初の2枚は自動車の後部座席のディスプレイ,残りの2枚は,3次元グラフィックスがカーナビ機器の,2次元グラフィックスが車載オーディオ機器の表示画面を想定した.
写真11 i.MX6Quadプロセッサで処理した画像を4枚の液晶パネルに表示したところ
ふくだ・あきら
フリーランステクノロジーライター
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