スマート・メータからヘルスケア,車載機器まで,ARMベース製品の応用例を展示 ―― Freescale Technology Forum Japan 2012(FTF Japan 2012)
米国Freescale Semiconductor社の日本法人であるフリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは,Freescale Technology Forum Japan 2012(FTF Japan 2012)を2012年10月22~23日の2日間,ザ・プリンス パークタワー東京(東京都港区)で開催した.
Freescale Semiconductor社は毎年,世界各地域で顧客向けの講演会兼展示会「Freescale Technology Forum(FTF)」を開催してきた.日本では毎年9月に,日本法人のオフィスに隣接した目黒雅叙園(東京都目黒区)を会場としてFTF Japanを開催するのが恒例だった.しかし昨年(2011年)からは会場をザ・プリンス パークタワー東京の宴会場フロアに変更した.そして今年は初めて,開催期間を2日間に延ばした.過去最大の規模で今回のFTF Japanが開催されたことになる.
FTF Japan 2012は主に基調講演,技術講演,展示会で構成されている.ここでは,同社のARMベースの製品展示を中心に紹介する.
●ARMコア内蔵マイコンのKinetisがASSP展開を本格化
「テクノロジ・ラボ」と名付けられた展示会場(写真1)は,エリアが「民生と産業(Consumer and Industrial)」,「ネットワーク(Networking)」,「自動車(Automotive)」の三つのカテゴリに区分けされていた.
写真1 FTF Japan 2012の展示会場
※ 以下の写真をマウスでクリックすると拡大できます
展示会場の中では,ARM Cortex-Mコア内蔵32ビット・マイコン「Kinetis(キネティス)」ファミリの展示が興味深かった.2010年6月に最初の製品が発表されたKinetisは,ARM Cortex-M4コアを内蔵しており,K10/K20/K30/K40/K50/K60/K70の七つのサブファミリがある.さらに,その後も新たなシリーズが製品化されている.
展示ブースでは,Kinetisのシリーズ展開がパネルで紹介されていた(写真2).現在はK10~K70が「Kシリーズ」となっており,その後「Xシリーズ」と「Lシリーズ」が商品化された.KシリーズとXシリーズはCortex-MのCPUコア群の中でもハイエンドに位置するCortex-M4コアを内蔵する.LシリーズはローエンドのCortex-M0+コアを内蔵する.2012年10月22日には,本フォーラムの開催に合わせて,Freescale社がKinetisの新シリーズである「Mシリーズ」と「Wシリーズ」を発表した.
写真2 ARM Cortex-Mコア内蔵マイコン・ファミリ「Kinetis」のシリーズ展開
●スマート・メータ用のARMマイコンをお披露目
Mシリーズは,Cortex-M0+コアを内蔵する32ビット・マイコンである.単相式および二相式のスマート電力計に組み込むことを狙った.アナログ・フロントエンドと24ビットの高精度Σ-Δ型A-D変換回路を搭載している.展示ブースでは,Kinetis Mシリーズを内蔵したスマート電力計とリファレンス設計を展示していた(写真3).
写真3 Kinetis Mシリーズを内蔵したスマート電力計(奥)とリファレンス設計(手前)
Wシリーズは,ワイヤレス・ネットワーク接続のスマート・エネルギー応用に対応した32ビット・マイコンである.Cortex-M0+コアを内蔵した品種とCortex-M4コアを内蔵した品種がある.展示ブースでは,Cortex-M4コアと2.4GHzのRF回路を内蔵する「Kinetis W20」を搭載した評価ボードを展示していた(写真4).
写真4 Kinetis Wシリーズの評価ボード
Cortex-M4コアと2.4GHzのRF回路を内蔵するKinetis W20を搭載する.
このほか,Kinetis Lシリーズの小型開発ボード「FRDM-KL25Z」の実機を展示していた(写真5).マイコン「MKL25Z128VLK4」や加速度センサ「MMA8451QR1」などを搭載している.
写真5 Kinetis Lシリーズの小型開発ボード「FRDM-KL25Z」
参考価格は12.55米ドル.