高速充電の電気自動車や「京」を超えるスパコンがエコをけん引 ―― エコプロダクツ2011
環境配慮への取り組みに関する総合展示会「エコプロダクツ2011」が12月15日~17日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された(写真1).展示規模は752社・団体と1,747小間である.出展社・団体数では前回(2010年開催の「エコプロダクツ2010」)の745を上回り,出展小間数では前回の1,762を下回った.来場者数は18万1,487名で,前回の18万3,140名に届かなかった.それでも2011年3月に発生した東日本大震災の影響を考慮すると,非常に盛況だったといえる.
環境配慮への取り組みは,エレクトロニクスや自動車などの製造業はもちろんのこと,外食や流通などを含めた非製造業にも要求されている.このため,出展社・団体の業種は非常に多岐にわたっていた(写真2).本レポートでは,エレクトロニクス関連に絞って注目の展示を紹介する.
●急速充電タイプの2次電池を電気自動車に搭載
まず関心を集めていたのは,新型バッテリを搭載した電気自動車の展示だろう.東芝は同社の2次電池「SCiB」が,三菱自動車工業の電気自動車に採用されたと2011年6月16日に発表した.そして三菱自動車工業は7月6日に,電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」をモデルチェンジし,低価格モデルi-MiEV「M」を発売すると発表した.このi-MiEV「M」が,駆動用バッテリにSCiBを搭載した車種である.SCiBはリチウムイオン電池の改良型で,充電に必要な時間がきわめて短いことと,4,000サイクルと長い充放電サイクル寿命を両立させていることを特徴とする.
東芝は展示ブースに,駆動用バッテリにSCiBを搭載した電気自動車i-MiEV「M」の実車(写真3)と,i-MiEV「M」に組み込むためのSCiBバッテリ・モジュール(写真4)を展示し,来場者の注目を集めていた.i-MiEV「M」は既存のi-MiEVに比べると駆動用バッテリの容量は小さいものの,充電時間が短いという特徴を備える.既存のi-MiEVの駆動用バッテリの容量は16.0kWh,i-MiEV「M」の容量は10.5kWhである.なおi-MiEVは初代モデルから,GSユアサと三菱商事,三菱自動車工業の合弁による大容量リチウムイオン電池の開発・製造会社リチウムエナジー ジャパンが開発したリチウムイオン電池を駆動用バッテリに採用してきた.このバッテリの容量は16.0kWhで,低価格モデル「M」と同時に発表された上位モデルの「G」に搭載されている.
SCiBバッテリを搭載したモデル「M」の満充電走行距離は120km(JC08走行モード,実際の走行パターンに近い測定方法),駆動用バッテリの総電圧は270V,充電時間は交流200V(15A)で約4.5時間,80%容量までの急速充電については約15分.モータの最高出力は30kW,最大トルクは180N・mである.これに対してモデル「G」の満充電距離は180km(JC08走行モード),駆動用バッテリの総電圧は330V,充電時間は交流200V(15A)で約7時間,80%容量までの急速充電については約30分.モータの最高出力は47kW,最大トルクは180N・mとなっている.