「PS Vita」と「Xperia PLAY」,PlayStationの流れをくむ新型携帯ゲーム機2機種が登場 ―― 東京ゲームショウ 2011

北村 俊之

tag: 組み込み 半導体

レポート 2011年9月22日

 2011年9月15日~18日,「心が躍れば,それはGAMEです.」というテーマと「ゲームで日本を元気に」のスローガンを掲げた「東京ゲームショウ 2011」が幕張メッセ(千葉市美浜区)にて開催された(写真1).日本をはじめとする16の国と地域から,国内131,海外62,合計193の企業や団体が出展した.出展総小間数は1,250小間.主催は日本コンピュータエンターテインメント協会(CESA).

 

写真1 会場全体の様子

 

 本展示会では,新型の携帯型ゲーム機の展示のほか,ゲームとの連携を深めるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やスマートフォン(高機能携帯電話)が急成長していることを受けて,それらに関連したさまざまな主催者企画を実施していた.各出展社ブースにおいても,携帯型ゲーム機やスマートフォン,ソーシャル・ゲームに対応した新規ゲーム・タイトルについての展示が多く,2011年のゲーム産業のトレンドを色濃く反映した内容となっていた.

 また,東日本大震災からの復興を支援するため,復興支援チャリティ・オークションや募金活動を実施したほか,来場者およびクリエイタからのメッセージを展示する特別企画「かえり道のアートスペース」も設置された.

 

●SCEが新しい携帯型ゲーム機「PS Vita」を披露

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は,「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の後継機となる「PlayStation Vita(PS Vita)」を展示した(写真2).同社は展示会前日の2011年9月14日にプレス向けの発表会を行っており,本機の国内での発売日,3G回線のキャリアとプリペイド・データ通信プラン,周辺機器,同時発売のソフトなどを公表した.実機の展示は今回が初めてとなる.

 

写真2 ソニー・コンピュータエンタテインメントの「PlayStation Vita(PS Vita)」

 

 本ゲーム機は,独自開発のプロセッサを搭載しており,CPUコアとして「ARM Cortex-A9(クアッドコア)」を,GPUコアとしてPowerVRの「SGX543MP4+(クアッドコア)」を内蔵している.また,メイン・メモリを512Mバイト,VRAMを128Mバイト備えている(プレイステーション・ポータブルはメイン・メモリを64Mバイト,eDRAMを4Mバイト).ゲーム・ソフトの供給には「PlayStation Vitaカード」(2Gバイトまたは4Gバイトのフラッシュ・メモリ・カード)を採用しており,ダウンロード・コンテンツやセーブ・データの記録も行える.なお,従来のプレイステーション・ポータブル用ソフトとの互換性は,ソフトウェア・エミュレーションで実現することになる.

 本ゲーム機の大きな特徴は,タッチパネルの採用と3G通信への対応である.本体前面にはマルチタッチに対応した5インチ型の有機ELディスプレイ(解像度は960ピクセル×544ピクセル,約1677万色同時表示)を採用した.画面のアスペクト比は16:9.また,本体背面にもディスプレイの真裏にマルチタッチパッドを搭載しており,前面のディスプレイと組み合わせて使用できる.

 通信機能は,ゲーム機としては初めて3G回線に対応しており(3G+Wi-Fiモデル),Wi-Fiのみの場合と異なり,移動中などでも通信機能を利用できる.ただし,通話には対応していないという.3G回線を使用する場合は,キャリアと契約を結び,毎月基本料とパケット通信料を支払うことになる.国内ではNTTドコモが提供する「データ通信専用プリペイドプラン」に対応しており,携帯電話やスマートフォンでの支払いも可能となっている.

 ゲーム機以外の機能として,内蔵カメラによる撮影やGPSによる位置情報取得,SkypeやTwitter,Facebookなども利用可能となっている.外形寸法は約182.0mm×18.6mm×83.5mm,重さは3G+Wi-Fiモデルが約279g,Wi-Fiのみのモデルが約260g.発売日は2011年12月17日を予定している.価格は,3G+Wi-Fiモデルが29,980円,Wi-Fiモデルが24,980円.本体と同時発売のソフトウェアは,26タイトル(2011年9月14日の発表時の情報).

 

●ゲームのためのスマホ「Xperia PLAY」を展示

 NTTドコモは,ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製のプレイステーション・スマートフォン「Xperia PLAY(SO-01D)」を展示した(写真3).本スマートフォンは,ゲームに焦点を当てた機種である.本体のディスプレイ部をスライドさせると,ゲーム機と同様の方向キーや△○×□ボタン,タッチパッドなどが現れる.形状については,現在,販売が終了している「PSP Go」に近い.

 

写真3 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの「Xperia PLAY(SO-01D)」

 

 本スマートフォンは,CPUとして「Snapdragon」(動作周波数は1GHz)を,GPUとして「Adreno 205」(いずれも米国Qualcomm社製)を搭載している.また,背面に510万画素の,前面に30万画素のカメラを備えている,液晶ディスプレイは4インチ型で,解像度が854ピクセル×480ピクセルのマルチタッチ対応となっている.このほか,ステレオ・スピーカ,Bluetooth 2.1+EDR,Wi-Fi,microSDHCスロットなどを備えている.OSはAndroid 2.3.なお,赤外線通信やおサイフケータイ,ワンセグの機能は備えていない.

 ゲーム・コンテンツとしては,「クラッシュ・バンディクー」や「みんなのゴルフ2」など,PlayStationやPlayStation 2で人気の高かったゲーム5タイトルがプリインストールされている.そのほかのゲーム・コンテンツについては,SCEが10月下旬以降に提供を予定しているコンテンツ・マーケット「PlayStation Store」,サード・パーティが運営するマーケットやAndroid Market,ゲーム・メーカが独自運営するサイトなどから提供される予定.また,ゲーム関連の情報を通知する「Xperia PLAY Game Launcher」や「Timescape」など,同社のスマートフォンである「Xperia」ではおなじみのアプリケーションも搭載されている.外形寸法は120mm×62mm×16.4mm,重さは175g.2011年10月~11月ころの出荷を予定している.

 

●非破壊検査装置の技術を応用して電脳具足を商品化

 計測技術サービスは,非破壊検査装置の技術を応用した電脳具足「雷鳴ψ(サイ)」を展示した(写真4).この電脳具足は,圧力センサを両目と股間(急所)の3カ所に装着することで,衝撃の強さなどを感知して,ヒットの有効度合いを3段階で判別する.格闘技のような強い打撃を与えなくても,標的センサ部分に手足が触れただけで,即座にヒットと判定するという.

 

写真4 計測技術サービスの「雷鳴ψ(サイ)」

(a) 電脳具足


(b) 競技の様子

 

 センサは12カ所まで増設可能となっており,データは無線通信によりパソコンに転送される.格闘技や剣道などの試合で利用すれば,どちらの攻撃がより早く正確にヒットしたかを判定できる.同社では,2012年夏までの商品化を目指しているという.

 

●年末から2012年にかけて裸眼3D対応のNintendo 3DS向けソフトが続々

 ゲーム・ソフトの分野では,「METAL GEAR SOLID SNAKE EATER 3D」(コナミ),「モンスターハンター3(トライ)G」(カプコン),「Kingdom Hearts 3D Dream Drop Distance」(スクウェア・エニックス)など,「Nintendo 3DS」(以下3DS)に対応したコンテンツが数多く展示された(写真5写真6).3DSは任天堂が2011年2月に販売を開始した携帯型ゲーム機であり,上下2画面とタッチパネルを特徴とした「Nintendo DS」シリーズの後継機にあたる.上下2画面,タッチパネル(下画面)はそのままに,上画面を裸眼3D対応としている点が特徴である.発売当初は価格が25,000円だったが,約6カ月後の2011年8月に価格を15,000円に引き下げたことで話題となった.

 

写真5 カプコンブースで「モンスターハンター3(トライ)G」の試遊を待つ来場者

 

写真6 コナミブースの「METAL GEAR SOLID SNAKE EATER 3D」試遊コーナ

 

 先に挙げた3タイトルについては,実機上で試遊版のソフトを実際に遊べるようになっていた.この3タイトルは,いずれもすでに知名度の高いシリーズの新作,あるいはリメイクである.そのため,実際に試遊しても,ゲームの操作について迷うことはなかった.

 三つのタイトルを遊んでみて気がついたことは,タッチ・ペンをまったく使わずにゲームが進められたことである.3DSは裸眼3D表示が大きな特徴であり,ゲームのメイン画面は3Dディスプレイ(上画面)になる.タッチパネルである下画面は,アイテムや武器の切り替え,マップの表示など,管理系の画面となる.これは3タイトルに共通している構成である.従来のNintendo DSであればアイテムの切り替えやマップの表示などはタッチ・ペンで操作するのだろうが,これらの操作はすべて十字キーやA・B・X・Yボタンで行えるようになっていた.そのため,タッチペンを使わなくてもゲームを進めることができた.

 

きたむら・としゆき

 

 

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