ユビキタスからM2M,IoTへ:すべての機器がネットワークにつながる日 ―― Device2Cloudオープンセミナ 2012

Tech Village編集部

tag: 組み込み Interface

レポート 2012年8月10日

●高価な専用システムから「普通のIT」が活用できる時代へ

 スマートジャパンアライアンス 理事を務める日本マイクロソフト エバンジェリストの太田 寛氏は,「デバイスとクラウド ~普通のITとの融合でこそ活きる組込み機器」と題した講演を行った(写真4).

 

写真4 スマートジャパンアライアンス 理事/日本マイクロソフト エバンジェリストの太田 寛氏

 

 

 スマートジャパンアライアンスは,日本社会のIT化やネットワーク化を推進するためのサービスやネットワーク・プラットホームを提案・提供する非営利団体である.2012年1月に,ICS コンベンションデザイン,iD,アドソル日進,イーラボ・エクスペリエンス,インコム,ヴィッツ,ディジ インターナショナル,デバイスドライバーズ,ナシュア・ソリューションズ,日本マイクロソフト,富士ソフト,早稲田環境研究所の12社によって発足した.

 機器をネットワークに接続し制御するためには,機器とアプリケーション・ソフトウェアの間に,「センシングや接続」,「データ送信」,「データ管理や制御」という技術要素が必要となる.スマートジャパンアライアンスでは,センシングは主にZigbeeやEnOcean,PLC(Power Line Communication;電力線通信)などを,データ送信形式はXMLを,データ管理は米国Digi International社の「iDigi Manager Pro」を,アプリケーション・ソフトウェア管理は米国Microsoft社のクラウド・システム「Azure」を組み合わせることが多いという.

 また,センサを活用したスマート・ハウスの例として,富士ソフトが益田建設向けに開発した「電力見える化システム」を紹介した(写真5).太陽光発電・風力発電による売電力量や電力使用量,買電・売電金額などをリアルタイムに閲覧できる.閲覧には専用端末ではなく,パソコンやスマートフォン,インターネット接続が可能なタブレット端末などを使う.

 

写真5 富士ソフトが開発した家庭向けの電力見える化システム

 

 

 同氏は,ネットワークへの接続について,業界や分野ごとに高価な専用システムを構築するのではなく,インターネットやWi-Fiなどの一般的なネットワークを活用し,国際標準やWeb標準と親和性のある記述を使って家電などの各種機器が接続できることが望ましい,と述べた.例えば,消費電力のデータを取得するのにREST〔Representational State Transfer;リソースをURIとHTTPのメソッド(GET,POST,PUT,DELETE)で扱うという考え方〕を用いる,などである.


●欧州ではM2M標準化の動き

 ユビキタス 取締役営業マーケティング本部長の佐野 勝大氏は,「IoT(Internet of Things)の世界実現に向けて」と題した講演を行った(写真6).IoT(日本語では「モノのインターネット」と訳されることが多い)とは,あらゆるものがインターネットに接続されている世界を指し,日本で現在「M2M」と呼ばれているものとほぼ同義である.従来の「M2M」の概念は,主にFA(Factory Automation)や配送管理などの分野で使われていたが,IoTは日常生活を含むあらゆる分野におけるインターネット接続を想定しているという(写真7).

 

写真6 ユビキタス 取締役営業マーケティング本部長の佐野 勝大氏

 

 

写真7 IoT(Internet of Things)の概念

 

 

 インターネットに接続できる端末の数は,2008年に世界の人口の数を超えており,2020年には500億個に達するだろうと米国Cisco Systems社は予想している(写真8(2*).また,それに伴い,ソーシャル・メディアのデータやセンサ・データなど,蓄積されるデータは爆発的に増え続けている.データは集計・集約されることにより価値が生まれる(なお,そのデータはだれのものなのか,という問題も同時に発生する).

 

写真8 IoTに関するCisco Systems社のインフォグラフィック
写真左がCisco社のインフォグラフィックである(詳細はこちらを参照).写真右の出典は,Digital Universe Study(June 2011)とのこと.

 

 

 データを集約し,ビッグ・データ化するためには標準化することが必要となる.佐野氏は,日本では業界ごとの標準という意識が高いが,スマートな(IT化された)社会を作るためには,業界を超えた標準化を進める必要があると述べた.なお現在,欧州の標準化団体ESTI(European Telecommunications Standards Institute)は,M2Mに関する標準化を進めている(詳細はこちら).

 佐野氏は,同社の無線LAN内蔵タップ電源「iRemoTap」のデモンストレーションをしたエピソードにも触れた.iRemoTapは,接続した電気製品の消費電力量をWebブラウザ上から閲覧でき,必要に応じて電源を切ることもできる.当初は,電力量をパソコンに表示していたが,これをiPadに変えたとたん,顧客の評価が上がったという.このように,単に情報が見えるだけではユーザの心は動かず,見栄えに気をつかったり,ゲーム的な要素を取り入れるなどして,ユーザの気持ちをつかむことが重要である,とした.

 

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