新人研修にプロジェクト型ロボコンを導入 ―― モチベーションを上げながら即戦力を育てるエンジニア教育
2010年6月29日,オリンパスソフトウェアテクノロジーの研修室にて,「ファームウェア・コンテスト」と題する社内ロボット・コンテストが行われた.これは,「ころころテニス」と称する競技を行う自律制御ロボットを開発するコンテストで,4月から始まった同社の新入社員研修の総決算として企画された.同社の幹部役員などが見守る中,3チームに分かれた新入社員10名が,開発したロボットについてプレゼンテーションと対戦競技を行った(写真1,写真2).

[写真1] 競技のようす

[写真2] 幹部役員が見守った
競技の内容はテニスに似ており,具体的には以下の通り.コートは長さ100cm×幅50cmの白地であり,四方を高さ15cmの板で囲ってある.コートの長辺側を2等分する形で,床面にネット代わりの黒いビニール・テープが貼られている.2台のロボットがそれぞれの自コートに陣取って,ボールを相手コートに返し合う.競技は先攻チームのサーブ動作から開始する.サーブ時や,自コートにボールが入ったときには,1分以内に相手コートに返す必要がある.返せなければ,相手に1ポイントが入る.また,ロボットの機体全体が相手コートに入ってしまっても,相手に1ポイント入る.4ポイント先取したほうが勝ちとなる.試合の制限時間は7分.
ロボットの機体は,近藤科学製のR8マイコン・ボードとPSD(position sensitive detector)センサ,赤外線センサ,マイクロスイッチ,タミヤのリモコン・ロボット製作セットなど,あらかじめ準備された同じ部材を使って製作する(表1).また,ロボットの性能向上以外の目的であれば,1,000円以内で追加パーツを購入してもよい.同社はソフトウェア開発の会社だが,機構系技術者や電子系技術者の考え方も理解しておくべきである,という方針に基づいて,機体から自作する研修内容となっている.
[表1] 使用した部材と参考価格(Webショップなどで個別に入手した)
部材 | 個数 | 参考価格 (1個あたり) |
CPUボード:近藤科学製「KCB-2」 (C言語開発ソフトウェア,モータ用ドライバ・ソフトウェア, シリアル-USBケーブルを含む) | 1 | 6,000円 |
タミヤ製「リモコンロボット製作セット(タイヤタイプ)」 | 1 | 3000円 |
PSDセンサ(距離計測センサ) | 2 | 2,000円 |
赤外線センサ(黒線の識別用) | 1 | 500円 |
タミヤ製マイクロスイッチ | 2 | 100円 |
モータ増設用コード・セット | 1 | 400円 |
単3電池 | - | - |