非圧縮画像を高速転送したり,蓄積するシステムに注目 ―― '09画像センシング展 レポート

北村 俊之

 画像処理技術の総合展示会「'09画像センシング展」が,2009年6月10日~12日の3日間,パシフィコ横浜(横浜市西区)にて開催された(写真1).本展示会は今回で24回目を迎える.マシン・ビジョンを中心としたFA(Factory Automation)分野をはじめ,自動車・交通(ITS:Intelligent Transport Systems),セキュリティ,教育・娯楽・サービスからバイオ・メディカル,宇宙・地球,スポーツまで,多岐の分野にまたがる画像処理アプリケーションの機器を展示する.併催は「第15回画像センシングシンポジウム(SSII09)」など.



[写真1] '09画像センシング展の会場の様子

● 非圧縮画像を高速転送するためのカメラと画像処理ソフトを展示

 ソニーは,ディジタル・ビデオ・カメラ・モジュール「GigE Vision XCGシリーズ」や,画像取り込みソフトウェア「VFS-42GE」などを展示した(写真2).

 XCGシリーズは,GigE Vision規格のインターフェースを搭載し,非圧縮・高速データ転送を実現している.2/3型500万画素の白黒出力「XCG-5005E」,2/3型SXGAの白黒出力「XCG-SX97E」,1/1.8型UXGAの白黒出力「XCG-U100E」,1/3型VGAの白黒出力「XCG-V60E」の4種類のモジュールを用意する.

 参考出品された「VFS-42GE」を利用すると,取り込んだ静止画像や動画をファイルとして保存できる.また,ブライトネスや自動露出,シャープネス,シャッタ・スピード,ゲイン,フォーカス,色温度,パン,チルトなどの表示・加工を行える.また,静止画像はbmp形式,png形式,jpg形式,独自cip形式,動画はavi形式と独自cip形式をサポートしている.


[写真2]ソニーの「XCG-5005E」と「VFS-42GE」

● 温度分布の画像をネットワークで転送可能に

 チノーは,温度分布を表示する汎用熱画像センサ・モジュール「TP-Lシリーズ」を展示した(写真3).本モジュールは小型・軽量な本体に,2,000画素の赤外線を検出するセンサ素子を搭載している.エリア内の発熱を検知するといった監視用途のほか,各種装置への組み込みや温度データを活用した計測などに利用できる.

 測定視野角は25°×25°または60°×60°.ネットワークへ接続できるEthernet仕様(10BASE-T/100BASE-TX)と,パソコンへ接続可能なUSB 2.0仕様の2機種を用意する.熱画像表示,温度データの保存,トレンド表示,画像処理などの機能を備えるアプリケーション・ソフトウェアが付属する.


[写真3]チノーの「TP-Lシリーズ」

● 画像処理に必要な機能を名刺サイズに集約

 ルネサス北日本セミコンダクタは,名刺サイズの画像処理ボード「Small VP SVP-330」と,PCIバス仕様の画像処理・画像認識ボード「VP-910A」,「VP-Ax100」を展示した(写真4).

 「Small-VP SVP-330」の外形寸法は100mm×60mm.画像処理LSI「VCHIP II」を搭載している.監視やロボット・ビジョンなどのアプリケーションに利用できる.EthernetやRS-232-C,ディジタル入出力(DI/DO),アナログ入出力の各インターフェースを装備する.Windowsパソコン上でアプリケーションの開発を行える.

 「VP-910A」は,画像処理LSI「SuperVCHIP」を搭載している.本ボードを利用することで,画像認識処理をホストから独立させることができる.カラー演算をハードウェア処理で実現しており,高速な色抽出が可能.また,画像処理中の非同期入力,およびモノクロ4チャネルの同時入力に対応している.

 「VP-Ax100」は,最新の画像処理エンジンと32ビットRISC CPUを搭載している.画像処理エンジンについては,内部の処理効率を改善した.これにより,ライブラリとして用意されている近傍処理や画像間の演算,特徴の抽出などの500種類以上の画像コマンドを高速に実行できるという.


[写真4]ルネサス北日本セミコンダクタの「Small-VP」,「VP-Ax100」,「VP-910A」(左から)

● 連続撮影した非圧縮画像をHDDに記録

 ビュープラスは,IEEE 1394b規格に準拠したカメラ「Flea2」を複数台使用して,同期を取りながら連続撮影した画像を非圧縮で録画し,録画画像をファイル出力するシステム「FullCAP3」を展示した(写真5).撮影された動画像は,フレームごとに非圧縮でHDD(またはメモリ)に記録される.カメラから送られてくる画像をそのままHDDなどに保存するため,画像の劣化が起こらない.

 記録後は,フレーム単位で画像を出力できる.また,IEEE 1394b HUBを採用したことで,従来より少ない配線でシステムを構成できた.今回の展示で使用した「Flea2」は小型で多目的のIEEE 1394bカメラ.画素数が0.3M~5.0Mピクセルの6機種(カラー,モノクロ)を用意する.


[写真5]ビュープラスの「FullCAP3」

● 480MHzのエリア・スキャン・カメラを展示

 日本エレクトロ センサリデバイスは,データ・レートが480MHzのエリア・スキャン・カメラ「CASBee XYCM13」を展示した(写真6).1,280ピクセル×1,024ピクセルの画像を,320フレーム/s(fps)の速度で取り込める.全画素FPN補正,データ切り出しなどの機能を備えている.外部インターフェースにCamera Link(フルコンフィギュレーション)を採用しており,汎用フレーム・グラバ・ボードとの接続が可能となっている.また,パソコンのメモリを利用して,大量画像の連続取り込みを行える.

 特定の領域の画像を高速に読み出す部分読み取りの機能も用意する.例えばVGA画像は1,200フレーム/sの速度で読み出せる.最大四つの領域を指定して,連続読み出しを行うことも可能.


[写真6]日本エレクトロセンサリデバイスの「CASBee XYCM13」

● QVGA画像を10,000コマ/sで撮影

 ディテクトは,QVGA画像で10,000コマ/s,SVGA画像で3,300コマ/sを実現するハイスピード・カメラ「HAS-D3」を展示した(写真7).感度は同社の従来機の3倍.画素数が1,600ドット×1,700ドットのCMOSセンサを搭載し,最大10万コマを撮影できる.内蔵メモリには約2秒間分の映像を記録可能.撮影したデータは,AVIやBMPなどの形式で保存できる.


[写真7]ディテクトの「HAS-D3」

 

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