ホワイト・ボードがタッチパネルに,洗面台がディスプレイに,一歩踏み出したディジタル・サイネージ ―― デジタルサイネージ ジャパン 2012

北村 俊之

tag: 組み込み

レポート 2012年6月20日

 2012年6月13日~6月15日,幕張メッセ(千葉市美浜区)にて,ディスプレイやサイネージ・システム,コンテンツに関する専門展示会「デジタルサイネージ ジャパン 2012)」が開催された(写真1).本展示会は,流通小売りや商業,医療などさまざまな施設における,大型画面やマルチタッチ型などの機器を利用した販促手法や情報伝達の手段など,新しい使い方の提案の場となっている.

 

写真1 会場全体のようす

 

 今回の展示では,単純に液晶パネルなどに静止画像や動画を表示するサイネージから一歩進んで,タッチパネルやモーション・コントロールなどを取り 入れた製品が多く見られた.またOSにAndroidやWindowsを採用することで,インターネットにシームレスに接続できるシステムも増えてきた. ディジタル・サイネージを取り巻く環境もようやく実用段階に踏み出した感がある.「INTEROP」,「IMC TOKYO 2012」,「スマートデバイスジャパン2012」,「Location Business Japan 2012」が同時開催され,3日間の延べ来場者数は132,866人(同時開催を含む).主催はデジタルサイネージジャパン 2012 実行委員会.

 

●会議に使える大型タッチパネル・ディスプレイ

 シャープは,タッチペンや指で直感的に操作できるタッチパネル・ディスプレイ「BIG PAD」シリーズの「PN-L802B」を展示した(写真2).本機器はたたみ約1畳分に相当する大きさ(1880mm×1157mm×135mm)で,80v型(対角203.2cm)の液晶を採用している.重量は約102kg.明るい部屋でも見やすく,プロジェクタやホワイト・ボードの代わりとして活用できる.付属のタッチペンで画面上に文字などを書き込むことができ,書き込んだ内容ごと保存することも可能.

 

写真2 シャープの「PN-L802B」

 

 

 マルチタッチに対応しており,画面上をスマートフォンのように指でタッチ操作することで,表示内容の拡大や縮小,ページの移動などが可能.同社のディジタル複合機と連携することで,表示内容を印刷したり,複合機でスキャンしたデータを画面上に表示したりできる.さらに,テレビ会議システムやタブレット端末,スマートフォンなどの機器と連携させて,複数のメンバで本機器を操作することも可能.対応OSはWindows XP/Vista/7.


●バーチャル・マネキンやペットボトル型スクリーンで訴求効果を狙う

 田中印刷所/藤野商事は,展示会やイベント,店頭プロモーションなどで足止め効果が期待できる「CGバーチャルマネキンminiタイプ」と「Cubic Screen」を展示した(写真3).「CGバーチャルマネキン」は,人型に切り抜いたアクリル板に専用フィルムを貼ったディスプレイであり,背面からイベント・コンパニオンや司会者の映像を等身大で投影表示できる.今回展示されていたminiタイプの外形寸法は30cm×36cm×27cm.

 

写真3 田中印刷所/藤野商事の「CGバーチャルマネキンminiタイプ」,「Cubic Screen」

 


「Cubic Screen」は,半透明の立体造形物に映像をプロジェクタで投射するシステムである.ペットボトルを半分にカットし,後方から飲料水や文字などの映像を投射することで,ディジタル・サイネージを実現している.造形物の前にスイッチなどを配置することで,映像をリアルタイムに変化させたり,接続された小型プリンタから印刷物を出力するなど,インタラクティブな機能も実装できる.


●洗面台の鏡がクラウドにつながる

 セラクは,ミラー・ディスプレイとAndroidを組み合わせ,クラウド・サービスと連携した「スマート洗面台」を展示した(写真4).鏡面の汚れ防止のため,鏡面に直接触れずに操作できるように,センサが埋め込まれている.洗面台に人が近づくと人感センサが感知し,鏡面に情報が表示される.朝,歯磨きや化粧をしながら,天気予報や交通情報,ニュース,スケジュールなどの情報を確認できる.さらに,蛇口に組み込まれたセンサによる水道メータ機能,体重計と接続した体重管理支援機能,埋め込まれたカメラによるヘルス・ケア機能,メモ入力によるコミュニケーション支援機能などに対応している.家庭や店舗,ホテル,美容室,事務所など,さまざまな場所での用途を想定している.

 

写真4 セラクの「スマート洗面台」

 

 

 仕組みとしては,鏡裏面のモニタがAndroidのボードに繋がっており,そこからインターネットに接続している.現在は有線LANを使用しているが,将来的にはWi-Fiや3Gにも対応する予定.各種センサは,開発環境であるArduinoを通して,Androidに接続している.

 

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