新技術はスマホがけん引,業務用のハンディ・ターミナルもマルチフィンガ・アクションへ ―― ワイヤレスジャパン2012

北村 俊之

tag: 組み込み

レポート 2012年6月 5日

●業務用端末でもスマホのようなマルチフィンガ・アクション

 カシオ計算機は,マルチフィンガ・アクション(複数個所に同時に指を接触し,それぞれの位置や動きを検出する操作)に対応した業務用携帯端末(ハンディ・ターミナル)「Smart Communicator IT-300」を展示した(写真6).OSとしてWindows Embedded Handheld 6.5を採用した.チャットやSNS(Social Networking Service),勤怠管理,コンテンツの作成・配信・閲覧などに利用できる.

 

写真6 カシオ計算機の「Smart Communicator IT-300」

 

 

 本端末は,サイズが3.7インチ,画素数が640ドット×480ドットのカラー透過型TFT液晶ディスプレイとマルチフィンガ・アクションに対応した静電容量方式のタッチ・パネルを装備している.高解像度表示とマルチタッチ操作を組み合わせることにより,A4サイズの書類も閲覧できるという.数字や文字の入力にはテンキーを利用できる.バックライト光源には低消費電力のLEDを用いている.

 通信機能として,WPA2対応のIEEE 802.11b/gとBluetooth 2.0に対応する.電源はリチウム(Li)イオン2次電池.低消費電力設計と無線スタンバイ・モード,クイック・レジュームなどの電力管理機能により,電池交換なしで約10時間の連続稼働を実現した.対落下衝撃性能については,1.5mの落下に耐えられる強度を備えているという.動作温度範囲は-20℃~50℃.外形寸法は,約75mm×155mm×19.6mm,重量は約215g(リチウムイオン2次電池を含む).

 

●スマート・メータ向けIEEE 802.15.4g/e準拠の無線モジュールを展示

 佐鳥電機は,スマート・メータ(ガス,電気,水道のメータに無線機能を搭載し,検針データの収集を効率化する機器)向けとして注目が集まっているIEEE 802.15.4g/eに準拠した「920MHz帯無線モジュール」を展示した(写真7).物理層を規定したIEEE 802.15.4g,およびMAC層を規定したIEEE 802.15.4eに対応した通信制御ソフトウェアを搭載している.

 

写真7 佐鳥電機の「920MHz帯無線モジュール」

 

 

 通信周波数は915.9MHz~916.9MHzまたは920.5MHz~929.7MHz,通信速度は最大100kbps,送信出力は1mW/10mW/20mW.変調方式はFiltered FSK.インターフェースとして,SPI,UART,GPIO,制御信号ポート(RESET,INT,DEBUG)を装備する.またA-D変換機能を備えている.アンテナは,チップ・アンテナと外付けアンテナから選択できる.動作電圧は2.7V~3.6V(DC),動作温度範囲は-30℃~+80℃.

 本モジュールの評価・開発用のベースボードを用意する.こちらはUSB-UART変換LSIを搭載しており,USBケーブルを介して給電できる.JTAG用コネクタや本モジュールの全信号を引き出すピン・ヘッダを搭載する.

 

●ZigBee版と独自プロトコル版の2種類の無線モジュールを用意

 ZigBee Allianceのブースでは,NEC/NECエンジニアリングが近距離無線通信モジュール「ZB24TM-Z2701/E2036」を展示した(写真8).ZB24TM-Z2701は,ZigBee仕様に準拠する独自プロファイルを搭載しており,ZigBee Application Profile(HA/SE)への対応が可能となっている.ZB24TM-E2036は,2.4GHz帯通信の独自プロトコルを搭載しており,ピア・ツー・ピア,およびスター型ネットワークの構築が可能となっている.いずれもアンテナをスプリット・リング共振器構造で実現しており,外形寸法は25mm×20mm×3.9mmと小さい.

 

写真8 NEC/NECエンジニアリングの「ZB24TM-Z2701/E2036」

 

 

 同社の他の無線通信モジュール製品とできるだけピン互換性を維持するように設計した.これにより,例えば2.4GHzと900MHzの二つの周波数帯に対応したシステムを容易に開発できる.また,柔軟なAPIを備えた独自プロトコルの製品を用意しているので,用途に合わせて最適なモジュールを選定できるという.

 

●堅ろうで防塵/防滴性能の高い携帯型の業務用ラベル・プリンタを展示

 ブラザー販売は,携帯型の業務用感熱ラベル・プリンタ「RJ-4040/4030」を展示した(写真9).RJ-4040は無線LAN(Wi-Fi)による通信機能を,「RJ-4030」はBluetoothによる通信機能を備えている.対落下衝撃性能については,1.8mの落下に耐えられる強度を備えている.防塵/防滴性能はIP54に対応する.動作温度範囲は0~40℃.

 

写真9 ブラザー販売の「RJ-4040/RJ-4030」

 

 

 印字速度は最大127mm/sと,据え置き型のプリンタ並み.最大118mm幅(ラベル幅は115mm)の搬送に対応し,物流ラベル(PDラベル)Cタイプの印刷に利用できる.直径58mmまでの感熱ロールに対応し,ファンフォールド紙の利用も可能.インターフェースとして,USB 2.0とRS-232-Cに対応する.外形寸法は約162mm×176mm×77mm,重量は約610g.

 

きたむら・としゆき

 

 

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