電気自動車が住宅まわりの電力インフラの一部に ―― 人とくるまのテクノロジー展(自動車技術展)2012

福田 昭

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2012年5月30日

●航続距離351kmの電気自動車を試作

 電気自動車の開発企業SIM-Driveは,自動車部品・材料メーカと共同で電気自動車の開発プロジェクトを進めてきた.これまでに第1号の開発車両「SIM-LEI」と第2号の開発車両「SIM-WIL」の試作を完了しており,現在は第3号の開発車両の試作を進めている.本展示会では,SIM-LEIとSIM-WILの試作車両を展示していた(写真7).

 

写真7 第2号の開発車両「SIM-WIL」


 

 

 中でも注目なのは,試作車両がこの3月に完成したSIM-WILである.SIM-Driveが開発している電気自動車は「ダイレクト・ドライブ方式のインホイール・モータ技術(タイヤの内部に駆動用モータを内蔵させ,モータとタイヤを直結して駆動する技術)」と「コンポーネント・ビルトイン式フレーム(床下にバッテリやモータ,インバータなどの部品を収納するフレーム)技術」を基本思想としており,SIM-LEIとSIM-WILはともに,これらの考え方を継承している.

 SIM-WILは35.1kWhと大きな容量のリチウムイオン・バッテリを搭載しており,航続距離(JC08モード)は351kmに達する(写真8).4輪の全てにモータを内蔵する全輪(4輪)駆動方式である(写真9).最高速度は180km/hと高い.外形寸法は全長4,150mm×全幅1,715mm×全高1,550mm,重量は1,580kg.乗車定員は5名である.最大出力は260kW,最大トルクは2,800Nmと強力だ.1.5t(トン)もの車両を,停止状態から5.4秒で時速100kmまで加速する.

 

写真8「SIM-WIL」の主要諸元と開発プロジェクトの参加機関




写真9 「SIM-WIL」の左前輪部分.タイヤの内周側にモータが収納されている

 

 

●1名乗り小型電気自動車の新型を参考展示

 1名乗りの小型電気自動車「COMS(コムス)」シリーズを開発・販売してきたトヨタ車体は,COMSの新型車両「COMS concept(コムスコンセプト)」を参考展示した.COMS conceptには業務用を想定して大容量の荷物入れ(リアトランク)を装備したBモデルと,個人用のPモデルがある(写真10).2012年の夏に発売する予定だ.

 

写真10 1名乗りの小型電気自動車「COMS concept(コムスコンセプト)」 Bモデル

 

 

 COMS conceptの主な仕様(写真11)は外形寸法が全長2,400mm×全幅1,095mm×全高1,465mm,重量が405kg.最高速度は60km/h.航続距離は50km(市街地走行モード).モータの定格出力は0.59kW,最大トルクは40Nm.バッテリは密閉型鉛(Pb)蓄電池で,容量は3.7kWh.充電時間は5時間かかる.

 

写真11 COMS conceptの主な仕様

 

 

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