ソフトウェア・プロダクト・ライン開発手法の実践的導入事例(4) ―― 社内・社外から見た導入のかぎ
Column 九州地域におけるプロダクト・ラインへの取り組み
2002年から2007年にかけて,福岡知的クラスタ第1期プロジェクトにおいてプロダクト・ライン開発の実践に関する調査と研究が行われました.同プロジェクトでは,H. Gomaa教授のオブジェクト指向プロダクト・ライン開発方法論PLUSを開発プロセスとして採用,IP電話プロダクト・ラインを題材としたケース・スタディを通し,プロダクト・ライン開発実践上のノウハウが蓄積されました.
これらのノウハウは,2005年から2010年にかけて実施された「九州大学システムLSI設計人材養成実践プログラム(QUBE)」において教材化され,この教材を用いた無料の公開セミナが中堅技術者を対象に年に1~2回開催されるようになりました.同プログラム終了後,この教材は福岡システムLSIカレッジに継承され,セミナは現在も継続して実施されています.
2007年は,九州組込みソフトウェアコンソーシアム(QUEST)をはじめとする組み込み技術者の地域コミュニティが,九州圏内に数多く立ち上がった時期でした.これらのコミュニティの連携のため九州地域組込みシステム協議会(ES-Kyushu)が官の支援のもと組織され,プロダクト・ライン関係の研究会やセミナが頻繁に開かれるようになりました.また,ES-Kyushuの下部組織として九州プロダクト・ライン推進部会(QPL)を立ち上げ,九州地域の企業や研究機関がメンバとなり,メンバ内での情報交換やプロダクト・ライン開発に利用できるツール調査が行われたり,国内外のプロダクト・ライン専門家を招いてのセミナが開催されたりするようになりました(図A).
いわさき・たかし
富士通九州ネットワークテクノロジーズ(株)
うちば・まこと
富士通九州ネットワークテクノロジーズ(株)
なかにし・つねお
九州大学 システム情報科学研究院