eneloopカートからEV消防車まで,ユニークな電気自動車が続々登場 の巻 ―― 第17回 日本EVフェスティバル2011 (3)
●消防車をコンバートEV化,放水ポンプも電池+モータで駆動
こちらは消防ポンプ車をコンバートEV化した「EVPomper」だ(写真8,写真9).製作したのは櫻護謨(サクラゴム).消防ホースなどのホース専業メーカだが,いまでは工業機器,航空宇宙機器の事業展開も進めているという.この消防車はあくまでも試作車なので,実際に消防署に売り込むところまでには至っていないという.自動車としての駆動だけでなく,放水ポンプもすべて電池+モータで駆動している.本当は,デモで放水するところも見せたかったのだが,と少し残念そうだった.電池は鉛密閉式蓄電池を使用しているとのこと.
写真8 EV消防車.じつはコンバートEV! 元のポンプ車の機能は基本的に使えるという
写真9 EVPumperは試作車なので,実際には消防車として活動できない
消防車をなぜコンバートEV化しようと考えたのかの問いには,「実際の消火作業においてポンプを動かそうとすると,エンジンを噴かすので排ガスが大量に出る.それが消火作業に悪影響を及ぼすことがある」のだそうだ.
●1899年に100km/hを達成した電気自動車に外観を合わせる
もう一つのユニークなEVとして,日本EVクラブがEVの組み立て講習会用に開発した「ジャメ・コンタント・オマージュ」を紹介する(写真10).ジャメ・コンタントとは,1899年に世界で最初に100km/hを達成した,ベルギー人のジェナッツィによって開発された自動車だ.しかも,それはEV(!)だったそうだ.EVは,最近開発されたと思われている方も多いかもしれないが,実はガソリン車より歴史が古い.
写真10 木製スケルトンが美しいEV「ジャメ・コンタント・オマージュ」
日本EVクラブでは,EVの基礎から,実習として実際のEVの組み立てを1泊2日で行うセミナを定期的に行っているが,そこで組み立てるEVがこのジャメ・コンタント・オマージュである(写真11~写真13).もちろん,元祖のジャメ・コンタントの技術的再現を目指したものではないが,敬意を表して外観を似せているという.
写真11 フロント・パネルも,シンプルかつカッコイイ!
写真12 後輪は2モータで独立駆動している
ナンバ・プレートをとっており,公道を走れる.
写真13 デモンストレーション走行では超信地旋回をして場内を沸かせた
超信地旋回とは,ショベルカーや戦車のように左右の動輪(この場合は後輪)を逆回転させて,その場で旋回すること.このとき,前輪はどうなっていたのか??("へ"の字になっていた)
(第4回に続く)
まの・もとき