EVのエンデュランス(耐久走行)を見た! ―― 第9回 全日本 学生フォーミュラ大会(4)
●いよいよEVがエンデュランスに登場!
一般的にEVの弱点は,航続距離だと思う.もちろん,航続距離を確保するのに電池の容量を増やせばよいだけではあるが,電池は高いし,増やせば車重も重くなるし,体積もかさばる.このフォーミュラ・カーでエンデュランスの20kmを完走すること自体が,EVでは簡単ではないのだ.またレーシング・コースは,直線もあったり,スラロームもあったりで,速度の幅が大きくなる.この場合,EVでは回生能力が高くないと,きわめて不利になる.このような条件下で,EVフォーミュラがどういう走りっぷりを見せるのか注目していた.
EVのエンデュランス(ただしデモ走行)が行われるのはガソリン車のレースの30分休憩の時間中なので,残念なことに,6~7割の観客がトイレ休憩のために席を離れてしまった.入れ替わるように,EVの状況を知りたいメーカ系/学会系の重鎮(?)が観客席にやってきて,レースがスタートした.
最初は,金沢大学のチームだ(写真6).昨日,車検をクリアしたばかりなのだが,濃紺のボディがスタート・ポジションに着いた.まだ,直線走行も8の字走行も,オートクロスもしていないはずだが,EVはデモ走行なので,特別な計らいでここに出てきたのだろう.
写真6 金沢大学のEVがレース場入口から入ってきた
ここから自走してスタート・ポジションに向かった.

コースの奥のほうでエンストしていたフォーミュラ・カーを運び出すのを待ってから(写真7),ようやくスタート・フラグが振られ,EVが静かにスタートした.
写真7 休憩時間を利用して,コースの奥でエンストして止まっていたフォーミュラを運び出す

最初のカーブに小気味よく突っ込んで,すぐにスラロームを難なく越えた.「少し音がするね...これはモータの音かな?」,「でも,ちゃんと走っているじゃない」と前の席に座っている関係者同士が話している.場内の実況アナウンスを担当していた両角氏も席を外しているので,学校名がアナウンスされただけ.ちょっと寂しい.
金沢大学は3周走行してコースからピット・コースに戻ってきた(写真8).ラップタイムは,さほど良くなかったが,途中エンストもせずに無難に戻ってきた.最初の走行がエンデュランスでは,ドライバもさぞ緊張したことだろう.デモ走行だから無理しないで戻って来てくださいね,と大会本部からも言われていたのかもしれない.
写真8 金沢大学のラップが表示されている
1分36秒94は立派だ.
