組み込みAndroidな元気人を探せ!(1) ―― いにしえの古都「元気なら」を訪問
震災や事故,円高にタイの水害....2011年は,度重なる災難で日本の製造業が窮地に立った年でもありました.ほんの半年前までは「地デジ化」で沸いていたエレクトロニクス業界も覇気がなく,方や外に目を向ければ韓国,台湾勢などがAndroidを搭載したディジタル家電の開発に力を入れているとか.このままこの国は,大きな変革の波に乗れずに衰退していくのか....
冒頭から暗い話で,申し訳ありません.確かに暗い話が多いこのご時世.でも,なんとか光を見つけ,元気になりたいものです.
でも,「元気出せよ! と言われても,カラ元気も出ませんよ」とおっしゃる方もいるかもしれません.それなら,元気な人に会って,そのエネルギッシュな「気」を少し分けてもらいましょう! ...というわけで,このコラムは,全国の「元気な」人を訪ねて歩いて,元気になろう! という企画です.
組み込みやIT業界で今,一番元気なのは,スマートフォン(スマホ)やタブレットPCに代表されるAndroidなどに携わっている方々ではないでしょうか.そこで,このコラムでは,Androidなどの組み込み応用にアツく燃える元気な人を探し求め,お話を聞きたいと思います.また,その中で,取り組みにかかわっている企業や産学官の団体,コミュニティの活動などを紹介できればと思います.
●「組み込みAndroid」と一口で言っても...
Androidなどの組み込み応用といっても,いろいろな方法があります.まずは,Androidを組み込みシステムのCPUボードに組み込む,(狭い意味での)組み込みAndroidの場合があります.さらに,スマホやタブレットPCなど既存の製品を組み込みマイコンにUSBや無線でつないで,制御を行う場合や,制御システムのマン・マシン・インターフェースとして応用する場合も考えられます.
当コラムでは,これらをすべて「Androidなどの組み込み応用」ととらえていきます.またOSについても,Androidを中心としつつ,iOSやWindowsというAndroid以外のOSも視野に入れていきたいと思います.
●奈良の「元気なら」を訪問
Androidの組み込みで「元気な人」を探せ! となるとまず思い浮かぶのが,奈良工業高等専門学校(奈良高専)が実施している事業「元気なら組み込みシステム技術者の養成」です(そのまんまの発想!という突っ込みは無しでお願いします).ちょうど,2011年11月~12月に,奈良高専と奈良県産学官共同研究拠点 技術サロンの共催セミナ「Androidで『ものづくり』~ものづくりシステムへのAndroid導入法~」(参加無料)が開催されていたので,古都奈良に向かうことにしました.
さっそく近鉄電車に乗り込み,最寄駅の西ノ京駅にGO!
●いにしえの古都とAndroid
近鉄橿原線の西ノ京駅は,世界遺産の平城京の西,薬師寺や唐招提寺の近くにあります.駅を降りて数分で,薬師寺の北側の門前に着きます(写真1).有名な東塔などの歴史あふれる建物は,残念ながら広い伽藍の向こうで見えません.
写真1 薬師寺(北側の門)

薬師寺の門をくぐりたくなりますが,今日の目的地は,西ノ京駅から東へ1.5Kmのなら産業活性化プラザ内の奈良県工業技術センター(奈良市柏木町)です.風情ある土壁に沿って,テクテク東へ約20分歩きます(写真2).
写真2 テクテク東へ
