組み込みAndroidな元気人を探せ!(1) ―― いにしえの古都「元気なら」を訪問

久保 幸夫

tag: 組み込み

コラム 2011年12月27日

●一人一式の実機教材でAndroidをボードに移植

 今回のセミナは,組み込みシステムへのAndroid導入法を,実習を交えて学ぶという内容です(写真6).全3回のうち第1回と第2回は「組み込みシステムとしてのAndroid ~ プラットフォーム開発入門」と題して,組み込みシステムへのAndroid移植方法を実機を使用しながら学びます.第3回は「Androidを使用した外部制御の基礎」と題して,Androidを使った機器の制御やセンシングなどを学びます.

 

写真6 土井先生のあいさつから講座を開始
左から奈良高専の土井先生,OESF認定トレーナの橋爪 香織氏,OESF事務局の満岡 秀一氏.

 

 まずは土井先生のあいさつから始まり,次にOESF事務局の満岡 秀一氏が内容について説明しました.注意事項として,Androidはオープン・ソースであるがソフトウェアによってライセンスが異なるので,Androidのフレームワークとライセンスを理解しておく必要があるとの説明がありました.

 その後,一般社団法人OESF(Open Embedded Software Foundation)注1 認定トレーナの橋爪 香織氏が講義を行いました.第1回である今回は,AndroidのベースとなるLinuxの基礎知識,ターゲット・ボードの説明,Androidの概要に関する講座が行われました.

注1:OESF(Open Embedded Software Foundation)は,Androidを応用した組み込みシステムの開発,構築における共通フレームワークやプラットフォームの共同開発や普及,技術者の教育・育成などを行う団体である.

 午後からはターゲット・ボードにAndroidを移植する方法を学び,演習を行いました.演習用教材として,受講者ごとにARMマイコンを搭載したターゲット・ボード(写真7)と開発用のパソコンが用意されています.開発環境としては,WindowsのVMWarePlyer上で動作するUbuntu8を使用し,PCとターゲット・ボードはシリアル・ケーブルまたはLANで接続し,クロス開発用の環境を構築します(写真8).第1回はターゲット・ボードにAndroidを移植するための準備が中心であり,Androidの移植そのものは第2回に持ち越されました.

 

写真7 使用した教材(タッチパネル液晶パネル付きのマイコン・ボード)

 

写真8 移植のための開発環境を構築中
慣れないviエディタに奮闘する受講者も.

 

 今回のセミナは無料であるにもかかわらず,1人ずつに一式の実機教材があるなど,実習環境が非常に充実していました.また,奈良高専や奈良先端科学技術大学院大学の学生さんなどが,チュータとして活躍していました.

 カリキュラムや講師,実習教材,講習会場の環境,サポート・スタッフの数ともに充実しており,さすが産学官連携の取り組み,といった感がありました.このような組み込みAndroidの講座は首都圏以外では機会が少なく,貴重な試みです.ほかの自治体や地域でも,ぜひ産学官の連携で,組み込みAndroidの普及や「クラウド時代のものづくり」を支援する取り組みを期待したいものです.

 

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