組み込みAndroidな元気人を探せ!(1) ―― いにしえの古都「元気なら」を訪問
六条町,西ノ京町といった町名にも,いにしえの平城京を感じながら,目的地の奈良県工業技術センターに到着しました(写真3).
写真3 奈良県工業技術センター

奈良県工業技術センター前の田畑には柿の実が一つ(写真4).なんとも奈良の風情を醸し出しています.妙に落ち着いた気にさせてくれるのは,日本人の心の原風景だからかもしれません.それにしても,これから訪問するAndroidの講座との新旧ギャップがまた面白いですね.
写真4 センター前の田畑には柿の実が一つ

●下回りもわかるAndroid技術者が不足している
まずは,奈良高専 電気工学科の土井 滋貴先生に,組み込みAndroidに対する人材育成への思いを聞かせていただきました(写真5).
写真5 奈良高専 電気工学科 准教授の土井 滋貴氏

土井:ここ数年,Androidへの注目が高まるにつれ,「OSとしてのAndroid」を使える人,すなわちAndroidのアプリケーションを作成できるソフトウェアな人たちは,どんどん増えています.しかし,Androidを組み込み機器に移植し,チューニングし,独自機能を作り込める人,すなわちAndroidを組み込んだ機器を作り込める人は不足した状態が続いています.
もの作りの現場でAndroidを活用するには,下回りも分かる,Androidを組み込める人をもっと増やしていくことが大事です.
―― 上の方をやっている「ソフトウェアな人たち」にも,ハードウェアに近いところのスキルも身に付けてもらいたい,ということですね.
土井:ええ,ソフトウェアな人たちが下回りを理解するのももちろん大事です.また,Androidはデバイスとクラウドを密接につなげる仕組みですから,デバイス寄りの「組み込みな人たち」にも,クラウド・サービスはパソコンだけでなく,デバイスや,その先の(その下につながる)センサやアクチュエータにつなぐこともできる,ということも知ってほしい,利用してほしい,と思っています.
―― ところで,奈良で組み込みAndroidの講座をする狙いはどこにあるのでしょうか.
土井:Androidに関する情報はメディアやインターネットなどで大量に入手できるようになりました.また,Androidに関する教育サービスなども充実してきました.しかしその多くは,アプリケーションやサービスに関するAndroidの情報であり,組み込みのAndroidに関する情報は目立たないですね.また,下回りを扱うAndroidのイベントや,講座などの開催も,多いとはいえません.さらに,首都圏に比べ,地方では,人材面も含め情報の入手の面で,不利な面があります.
そこで,組み込みAndroidの下回りが分かる人材を育成するためには,今回のような講座の開催やイベントを通じて,一人でも多くの人材が育つように,刺激を続けていくことが大事だと考えています.
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Androidが端末となり,クラウドのサービスを介して,人と人,人とモノ,モノとモノがつながるとなると,もの作りの現場でも,Androidを組み込んだ機器は,いままでのスタンドアローンの製品の延長だけではなく,Androidの先につながるクラウドやサービスまで含めて考える必要がありそうです.その中で,どのような付加価値を見つけだしていくかが,Android活用のカギとなりそうです.
おっと,講座が始まる時間です.