オムロンが開発中のMEMSデバイスを多数展示 ―― 第22回マイクロマシン/MEMS展レポート

●自動車エアバッグ用加速度センサは1万Gの衝撃に対応

　三菱電機は，自動車エアバッグ用のMEMS加速度センサ・モジュールを参考展示していた（写真14）．センサ・チップの表面に対して垂直方向（Z軸方向）に加わる加速度を検出する．1万Gを超える強い加速度（衝撃）が加わっても，正確に加速度を検出できることが特徴だという．

写真14　自動車エアバッグ用MEMS加速度センサ・モジュールの説明パネル

　加速度が加わることによってMEMSチップ内の慣性重量体がZ軸方向に動く．この変位を梁（ビーム）を通じて2枚の板の回転変位に変換し，静電容量の変化として信号を検出する．強い衝撃によって慣性重量体が急激に動こうとすると，周囲の空気が動きを減衰させるので，衝撃に耐えられる．従来のMEMS加速度センサでは，衝撃によって慣性重量体が周囲の構造物に衝突するなどして，加速度を正確に検出できなくなっていたという．

　展示ブースでは動作原理の模型を展示していたほか，センサ・チップをその場で顕微鏡観察した画像を示していた（写真15，写真16）．

写真15　加速度センサの動作原理を説明する模型

写真16　加速度センサの顕微鏡観察像

●3次元距離測定システムにMEMSミラーを応用

　日本信号は，MEMS技術による小型可動ミラー「ECO SCAN（エコスキャン）」を応用した3次元距離測定システム「アンフィニソレイユ」を開発し，展示していた（写真17）．レーザ光を走査して反射光を計測し，対象物との距離を3次元で測定する．カメラと画像処理による測定に比べると，外乱光の影響を受けにくいという特徴を備える．すでに納品の実績があるという．

写真17　「アンフィニソレイユ」の本体
外形寸法は幅60mm×高さ65mm×奥行き90mm．重量は約0.5kg．電源電圧は直流12V．

　展示ブースでは，来場者を対象にした3次元距離測定の結果（色で距離を表現したカラー画像）をリアルタイムで示していた（写真18）．

写真18　3次元距離測定システムのデモンストレーション
「アンフィニソレイユ」を実際に動かして来場者との距離を表示していた．撮影者がカメラを構えた様子が分かる．

●24mm角と小さな慣性計測ユニットを展示

　セイコーエプソンは，外形寸法が24mm×24mm×10mmと小さな慣性計測ユニット（IMU：Inertial Measurement Unit）「S4E5A0A0」を展示した（写真19）．2011年7月にサンプル出荷を始めている．「S4E5A0A0」は3軸のジャイロ（角速度）センサと3軸の加速度センサを内蔵する．3軸ジャイロ・センサはセイコーエプソンの関連会社であるエプソントヨコムがMEMS技術によって開発したもの．加速度センサは外部企業から調達したという．ジャイロ・センサの測定範囲は±300°/s，加速度センサの測定範囲は±3Gである．展示ブースでは，「S4E5A0A0」を組み込んだモジュールとノート・パソコンを接続し，「S4E5A0A0」の測定結果をノート・パソコンの液晶ディスプレイに表示してみせていた．

写真19　「S4E5A0A0」を組み込んだモジュール（右端）で測定した結果をノート・パソコンの液晶モニタに表示

ふくだ・あきら
テクニカル・ライタ/アナリスト
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