オムロンが開発中のMEMSデバイスを多数展示 ―― 第22回マイクロマシン/MEMS展レポート
●高層建築物の長周期振動を計測
オムロンのMEMS加速度センサは,非常に長い周期,あるいは非常に低い周波数で変化する加速度を検出できることを特徴とする(写真8).測定可能な変化は周期にして10秒と長く,周波数で0.1Hzと低い.検出可能な最大加速度は4G,検出精度は0.1ガルである.高層建築物の長周期振動計測で需要があるとする.
写真8 MEMS加速度センサの説明パネル

展示ブースでは模型で長周期の振動を再現し,加速度センサを載せて実際に測定してみせていた(写真9).
写真9 模型でゆっくりとした長い周期の振動を起こし,加速度を計測してみせた
左の液晶モニタに測定結果を表示している.右がゆっくりとした振動を起こしている模型.

MEMS絶対圧センサは,相対的な圧力差ではなく,気圧の絶対値を計測することを特徴とする.測定範囲は50kPa~110kPaである(写真10).地上高度に換算すると,地上5000m~地下500mに相当する.日本国内で活動する場合は,すべての地点で高度を測れることになる.測定精度は12Paと高い.また,駆動電圧は2.5Vと低い.センサの大きさは4.0mm角,厚みは1.0mm.
写真10 MEMS絶対圧力センサの説明パネル

展示ブースでは,センサとマイコン,Bluetooth送受信回路をまとめたモジュールを約3mの高度差でゆっくりと上下に往復運動させ,Bluetooth信号をタブレット型端末で受信して高さの変化をディスプレイに表示してみせていた(写真11).
写真11 MEMS絶対圧センサのデモンストレーション


(写真左)モジュール側
MEMS絶対圧センサとマイコン,Bluetooth受信回路をまとめたモジュールを上下に動かしていた.中央部のピンク色の部分がモジュールである.
(写真右)表示部側
モジュールのBluetooth信号をタブレット型端末で受信して,高さをグラフ表示していた.
振動発電モジュールは,振動発電デバイスと無線送受信回路を組み合わせたものである(写真12).機械的な振動をエレクトレット材料によって交流電力に変換する.周波数が30Hz,加速度が0.5Gの振動からおよそ100μWの電力を取り出せる.出力電圧は数十Vである.整流回路と電源制御回路,充電回路によって蓄電素子(電気二重層コンデンサ)に電力を貯え,無線通信回路の電源などに利用する.展示ブースには振動発電モジュールと,構成部品である振動発電デバイス,蓄電素子の実物を展示していた(写真13).
写真12 振動発電モジュールの説明パネル

写真13 左が振動発電モジュール.右上が振動発電デバイス,右下が蓄電素子
