スマート・ハウスからスマート・コンセントまで,スマート・エネルギー関連のデモが続々 ―― Embedded Technology West 2011
●ZigBee無線モジュールで太陽電池の情報を転送
ディジ インターナショナルは,ZigBee無線モジュール「XBeeアダプタ」を利用して太陽電池パネルの起電力の情報をパソコンへ転送するデモンストレーションを行った(写真7).XBeeアダプタはRS-232やRS-485などのシリアル・インターフェース,USB 2.0インターフェース,アナログ入出力,ディジタル入出力などを備えている.データ転送速度は250kbps.
写真7 ディジ インターナショナルが見せたZigBee無線モジュールと太陽電池パネルのデモンストレーション
●電力使用量と電力料金をiPadやAndroid端末に表示
日新システムズは,スマート・メータとスマート・コンセントのデモンストレーションを行った(写真8).これらの機器で計測した電力使用量と電力料金の情報を無線LAN経由でパソコンやiPad,Android端末に転送し,それぞれのディスプレイに表示してみせた.家屋内のどの機器が多くの電力を消費しているかをランキング形式で示したり,目標とする電力料金に対して何%分を消費したかなどを表示させていた.
写真8 日新システムズのスマート・メータとスマート・コンセント
●照明用高輝度LEDを制御して植物に当てる光の波長や発光時間を変える
組み込みソフトウェアの開発や組み込み機器の検証受託を行っているiTestは,LEDを利用した食料生産や鮮度保持のデモンストレーションを行った(写真9).照明用高輝度LEDを制御し,植物に当てる光の波長や発光時間を変化させる.植物工場プラントの統合制御や研究機関の光環境実験などに利用できる.北九州産業学術推進機構,イーシーエス,新日本無線,佐鳥電機などと共同で開発した.
写真9 iTestのLEDアプリケーション制御システムのデモンストレーション
●Cortex-Mマイコンが勢力を誇示
アームのブースでは,米国Freescale Semiconductor社のCortex-M4マイコンを搭載したモジュール式の開発ボード「Freescale Tower System」が展示されていた(写真10).Cortex-M4はDSP機能や浮動小数点演算ユニットを備えたARMマイコンである.MAC(Multiply and Accumulation)回路やSIMD(Single Instruction Multiple Data)演算回路,ハードウェア除算回路をCPUコアに組み込んだ.モータ制御や車載機器,電力管理,組み込みオーディオ,FA(Factory Automation)などのアプリケーションを想定して開発した.
写真10 Freescale Semiconductor社のモジュール式の開発ボード
また,Cortex-M3コアを搭載した富士通セミコンダクター製マイコン「FM3ファミリ」を搭載した開発ボードも展示されていた(写真11).FM3ファミリは,同社の既存の32ビット・マイコン「FRシリーズ」,16ビット・マイコン「16LXシリーズ」の領域をカバーする新しい32ビット・マイコンである.現在は,CANインターフェースやUSBインターフェースを搭載した品種などを量産出荷している.
写真11 富士通のFM3マイコンを搭載した開発ボード
富士通のブースでは,参考展示として,ハードウェア演算回路(アクセラレータ)を搭載したCortex-M3マイコンのデモンストレーションが行われていた(写真12).このデモンストレーションでは,FIR(Finite Impulse Response)ディジタル・フィルタをハードウェア演算回路で実現し,CPUコアの動作周波数を上げずに高速なオーディオ処理を実現していた.これらの機能はFPGA上に実装されていた.
写真12 ハードウェア演算回路(アクセラレータ)を搭載したCortex-M3マイコンのデモンストレーション