変換効率の向上や交流出力品など,改良が著しい太陽電池モジュール ―― PV EXPO 2011レポート
●出力320W,変換効率19.6%の結晶モジュール
東芝は,出力が320W,モジュール変換効率が最大19.6%と高性能の単結晶型太陽電池モジュールを出品していた(写真7).セル変換効率が最大22.6%と高い単結晶型太陽電池セルを組み込んでいる.仕様は公称最大出力が320W,公称最大出力動作電圧が54.7V,公称最大出力動作電流が5.86A,公称開放電圧が64.8V,公称短絡電流が6.24A,外形寸法が1559mm×1046mm×46mm,重量が18.6kgである.
京セラは,戸建て住宅用太陽電池システム「SAMURAI」向けに,出力(公称最大出力)が77.5Wの多結晶型太陽電池モジュールを新たに開発し,販売を始めた(写真8).これまでは出力46Wのモジュールと出力62Wのモジュールを用意していた.出力77.5Wのモジュールの仕様は,モジュール変換効率が約13.3%,外形寸法が1692.5mm×345mm×25mm,重量が6.3kgである.
●中国の太陽電池ベンダが大挙して出展
結晶系ではこのほか,中国の太陽電池モジュール・ベンダが数多く出展していたのが目新しかった.JA Solar HoldingsやTrina Solar,Yingli Green Energy Holdings,Shanghai Chaori Solar Energy Science and Technology,ET Solar,Sopray Solar,Hanwha SolarOne,Upsolarなどが結晶系太陽電池モジュールを出品していた(写真9).
また韓国からはHyundai Heavy Industriesが,台湾からはAUOのほかにDelSolarが展示ブースを構えていた(写真10).
●薄膜系の巨大な太陽光電池モジュール
薄膜系の太陽電池モジュールでは,大面積と柔らかさという特長を活かした巨大なロールフィルム状の太陽電池モジュールの展示が目立っていた.
化学分野の商社であるCBCとオー・ジーはそれぞれ,ロールフィルム状の巨大な太陽電池モジュールを実物展示していた(写真11,写真12).いずれもCIGS合金(銅インジウム・ガリウム・セレン合金)系材料を使用した薄膜系太陽電池で,開発企業は米国のGlobal Solar Energyである.太陽電池セルの変換効率はおよそ11%,太陽電池モジュールの変換効率は10%くらい.ステンレス基板に太陽電池セルを形成することで,フィルム状の太陽電池モジュールを実現している.
また総合商社の兼松は,アモルファスシリコンを材料とする薄膜系太陽電池モジュールを出品していた(写真13).米国のUnited Solarが開発,製造した太陽電池モジュールである.太陽電池セルを3層構造にして光吸収波長を広げ,2層以下のアモルファスシリコン薄膜系太陽電池よりも高い変換効率を達成しているとする.なお,モジュールの変換効率は8.2%である.
ふくだ・あきら
フリーランス・テクノロジ・ライタ
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