トヨタ・グループ開発の標準鉛フリーはんだが各社から登場 ―― 第40回 インターネプコン・ジャパン・レポート

福田 昭

tag: 実装 電子回路

レポート 2011年1月21日

●低銀化鉛フリーはんだ合金の展示も盛ん

 銀(Ag)の含有量を減らすことではんだ合金コストの削減を狙った「低銀化鉛フリーはんだ」の展示は,前回と同様に盛んだった.展示されていた組成は主に3種類.一つは,銀の含有量が1重量%,銅の含有量が0.7重量%の鉛フリーはんだ合金である.「Sn-1.0Ag-0.7Cu」または「SAC107」と表記される.もう一つは,銀の含有量が0.3重量%,銅の含有量が0.7重量%の鉛フリーはんだ合金である.「Sn-0.3Ag-0.7Cu」または「SAC0307」と表記される.最後の一つは,銀の含有量をさらに減らして0.1重量%としたはんだ合金である.銅の含有量は0.7重量%.「Sn-0.1Ag-0.7Cu」または「SAC0107」と表記される.

 ここ数年は金属素材の市場価格が乱高下しており,特に高価な銀の価格変動が鉛フリーはんだ合金のコスト変動要因として問題となっていた.2008年秋のリーマン・ショック以降は,いったん下がった銀の価格がじわじわと上昇し,2010年12月には過去最高の価格となってしまった.例えば弘輝は,銀価格の推移を展示ブースで表示し,鉛フリーはんだ合金のコストがいかに上昇しているかをアピールしていた(写真9).

写真9 銀価格(kg当たり)の推移と鉛フリーはんだ合金のコストに占める銀(Ag)の比率

 

 弘輝の説明パネルによると,銀価格はリーマン・ショック前の最高値がkg当たり約68,000円であり,リーマン・ショック直後にはkg当たり約28,000円まで急落した.そのあとはじわじわと上昇を続け,2010年12月にはkg当たり約8万円と,過去最高値に達している.

 その弘輝は,銀(Ag)の重量%を0.1%に減らした低銀化鉛フリーはんだペースト「S01X7C48-M500」を展示していた(写真10写真11).これは,標準的な鉛フリーはんだ合金である「SAC305」と同等の特性を狙って開発したもの.はんだ合金はSn-Ag-Cu系で,Agを0.1重量%にとどめてコストを抑制している.Cuの組成は0.7重量%である.これにコバルト(Co)を0.03重量%ほど加えることで,温度サイクルの寿命を高めている.すでに中国の携帯電話メーカが,携帯電話機のメイン基板に採用したという.

写真10 低銀化鉛フリーはんだ「S01X7C」の概要

 

写真11 低銀化鉛フリーはんだ「S01X7C」の概要(続き)

 

 このほか,ハリマ化成やニホンゲンマなどが,低銀化鉛フリーはんだを展示していた.

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