太陽電池パソコンやUSB駆動大画面液晶など,低炭素社会を後押しする要素技術が続出 ―― Green Device 2010
●MEMSシャッタの低消費電力フルカラー・ディスプレイ
液晶ディスプレイのベンダである日立ディスプレイズは,MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術によるシャッタを利用した小型のフルカラー・ディスプレイを試作し,実機を動作状態で展示してみせた(写真7).
ディスプレイのバックライトはLEDで,赤色(R)と緑色(G),青色(B)の三原色のLEDを順次点灯する.点灯のタイミングに合わせてMEMSシャッタを開閉することで動画像を映し出す(写真8).試作したフルカラー・ディスプレイは2.5型で解像度はQVGA(320×240画素)である.表示画像は非常に鮮明で美しく,将来を期待させるものだった.
MEMSシャッタは光の透過率が高く,液晶ディスプレイに比べるとおおよそ半分の消費電力で済むという.またLED光源を使わず,外光を反射させたモノクロ・ディスプレイとしても動作する(写真9).この反射型モノクロ・ディスプレイで動作させたときは,反射型ディスプレイである電子ペーパと同じくらい,低い消費電力を実現できるとする.
なおMEMSディスプレイ技術は,米国Pixtronix社と共同で開発した.
●フルカラーの電子ペーパを組み込んだ電子書籍リーダ
電子ペーパの大手ベンダである米国E Ink社は,9.68型と電子ペーパとしては大画面のフルカラー・パネル「Triton」を開発し,実機を動作展示した(写真10).電子ペーパは画像を切り換えるときだけ電力を消費するので,極めて低い消費電力のディスプレイを実現できる.応答速度が低いので動画像表示には適さないものの,静止画像が主体の電子書籍リーダ端末として期待されている.
E Inkが出品した「Triton」パネルは解像度が800×600画素で,4096色を表示する.フルカラー表示の色合いは液晶パネルに比べると鮮やかさを欠くが,昨年のGreen Device 2009で見たときのくすんだ色合いからは,ずっと改良されていた.
E Inkのブースでは,電子書籍リーダのベンダである中国Hanvon Technology社が「Triton」パネルを採用した電子書籍リーダ端末「Hanvon Color Wisereader」を出品していた(写真11).
「Hanvon Color Wisereader」は外形寸法が270mm×188mm×11.2mm,重量が554g(リチウムイオン・バッテリ込み),ディスプレイの寸法は9.68型である(写真12).ディスプレイはペン(電磁方式)入力のタッチパネルを兼ねる.ディスプレイのコントローラLSIはセイコーエプソンの「S1D13524」である.
ふくだ・あきら
テクニカル・ライタ/アナリスト
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