3Dテレビや電子ブックの基盤となる電子製品が続々 ―― FPD International 2010
●PCレスでOfficeファイルを投影できるポケット・プロジェクタ
住友スリーエムは,WordやPowerPointなどのファイルをパソコンなしでで投影できるポケット・プロジェクタ「MPro150」を展示した(写真5).本プロジェクタの外形寸法は130mm×60mm×24mm,重さは約160g.WordやExcel,PowerPoint,PDFなどの各種ファイルを本体のみで投影することが可能.1Gバイトの内蔵メモリを搭載しており,最大32Gバイトまで対応したmicroSDカード・スロットを備える.microSDカードに保存したファイルの投影のほか,パソコンや携帯電話/スマートフォン,デジタル・カメラ,ミュージック・プレーヤなどと接続して投影することも可能.0.5W(×2)のステレオ・スピーカを内蔵しており,本体のみで音声再生ができるほか,ヘッドホン端子を介して外部スピーカも利用できる.光源はRGB LEDを採用しており,明るさは15ルーメン.対応するスクリーン・サイズは最大で50インチ.バッテリはリチウム・イオン充電池を利用しており,フル充電で約2時間の利用が可能.

写真5 住友スリーエムの「MPro150」
●電池レスな家庭用リモコン・ソリューション
ルネサス エレクトロニクスは,ボタンを押す振動で発電し,電池が不要な家庭用リモコンを実現するソリューション「電池レスリモコン」を参考出展した(写真6).本ソリューションは,タッチ・ボタンを押すエネルギを,振動発電デバイスによって電力に変換し,さらにこれを独自の電源制御技術によりシステムの電源に変換するという.マイコン部分には,ZigBee RF4CE内蔵の低消費電力16ビット・マイコン「μPD78F8058」を搭載している.また振動発電デバイス/電源制御回路の進化により,同社従来製品と比較して約6割減の小型化が図られているという.同社は,2011年までにセット・メーカに対して本ソリューションの実用的な提案を行いたいとしている.

写真6 ルネサス エレクトロニクスの「電池レスリモコン」
●LEDバックライト・ディスプレイも測定可能なディスプレイ・カラー・アナライザ
コニカミノルタセンシングは,被測定光源の波長分布にばらつきがあっても正確な測定を行えるディスプレイ・カラー・アナライザ「CA-310」を展示した(写真7).CIE 1931等色関数に合致したセンサを搭載している.2.0cd/m2以上であれば,20回/sで液晶ディスプレイなどの各種ディスプレイの輝度・色度を測定できる.センサのノイズ信号低減技術により,0.005cd/m2という極低輝度領域でも,5回/sの測定が可能.

写真7 コニカミノルタセンシングの「CA-310」
LEDバックライトの発光分布のばらつきによる個体差は10nm程度あるといわれており,従来のカラー・アナライザでの調整では,xy表色系において0.010近い色差が生じることがあるとされている.本アナライザでは,同じケースにおいて色差を0.003程度と,3分の1以下に抑えることが可能であるという.
●4K解像度のディジタル・ステレオ・カメラ
ビュープラスは,4K(4096pixel×2048pixel)解像度のステレオ・コンテンツを60p非圧縮で撮影可能なディジタル・ステレオ・カメラ「Lumiere 3D」を展示した(写真8).カメラ・ヘッド部分には,2台の4Kカメラがベースライン65mmで配置されており,左右1組の2眼ステレオRAW画像を最大60枚/s,約12分間取得することが可能.取得した画像は,2本の4レーンPCI-Express外部ケーブルを用いて,パソコン内に非圧縮画像として伝送される.カメラ・ヘッド部分(レンズ込み)の外形寸法は,231mm×179mm×108mm.

写真8 ビュープラスの「Lumiere 3D」
●コンパクトで省スペースを実現したソーラ・シミュレータ
朝日分光は,コンパクトでファイバ照明が可能なソーラ・シミュレータ(擬似太陽光源)「HAL-320」を展示した(写真9).本ソーラ・シミュレータのスペクトルは,JIS規格C8912/C8933の太陽光スペクトルや近赤外~赤外域スペクトルに近似している.ファイバ出射式なので,さまざまなレイアウトで照射が可能.電源を内蔵しており,外付けコントローラによる遠隔操作や,RS-232-Cポートによる外部制御も可能.用途としては,太陽電池試作・開発の評価やディスプレイ検査,化粧品の研究・評価,光触媒研究などに適しているという.

写真9 朝日分光の「HAL-320」
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