プリント基板の組み立て工場を見る(後編) ―― フロー工程,検査と人手による作業,実装工程を意識した回路設計技術
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技術解説 2010年11月12日
10.検査と人手による作業
●目視検査と修正
リフロー炉やフローはんだ槽ではんだ付けを行ったら,正しくはんだ付けされているかどうかを人の目でチェックします(写真10).ここではんだ付けされていない個所があったり,はんだによりショートしてしまっている部分などがあれば,人手によって修正を行います.
(a) 検査
(b) 修正
写真10 目視検査と修正
リフロー炉やフローはんだ槽ではんだ付けを行ったら,正しくはんだ付けされているかどうかを人の目でチェックし,不良があれば修正する.
部品が正しく実装されているかチェックするために,画像解析装置を使用する場合もあります.部品が正しい位置に実装されているか,部品の表示を読み取り定数が合っているかなどをチェックします.また,X線などを使用して人間の目ではチェックできない部分などを確認する場合もあります.
この修正作業をなるべく少なくするようなパターン設計も求められます.実際には,リード・ピッチの狭い部品をボンド面に使用しない,部品の搭載角度の変更,はんだタッチ解消のためのランドの追加などがあげられます.
●人手による実装
機械実装や手挿入で対応できない部品があれば,リフロー炉やフローはんだ槽によるはんだ付けの後で,手作業ではんだ付けを行います.手作業によるはんだ付けは,機械実装に比べてコスト・アップにつながるので,なるべく避けたいものです.
●インサーキット・テスタによる検査
すべての実装工程を終了したら,部品がプリント配線板に間違いなく実装されているかを,インサーキット・テスタと呼ばれる装置を使用して電気的に検査します(写真11).
(a) 検査中
(b) 合格
(c) プローブ部
写真11 インサーキット・テスタの例
基板をテスタにセットしてパターン間の抵抗などを測定して検査する.
インサーキット・テスタはパターン間の抵抗などを測定し,部品が正しく実装されているか,また間違った部品が実装されていないかを検査します.この工程で回路の電気的なつながりを検査することで,電源を入れて動作させながら行う検査に備えます.
インサーキット・テスタは,検査したい基板に合わせて作成する必要があります.検査のためのデータは,実際に基板のパターン間の抵抗などを測定して作成します.
●ファンクション・テスタによる検査
ファンクション・テスタでは,マイコン基板の各機能を,設計者が作成した検査プログラムを用いて確認します(写真12).
- 入力機能・・・スイッチ操作やセンサ値の検出など
- 出力機能・・・LED表示や電圧出力,モータの動作など
- 通信機能・・・RS232やRS485通信など
写真12 ファンクション・テスタの例
基板に電源を入れて模擬負荷をかけ,実際に動作させて検査する.
実際には基板に電源を入れて模擬負荷をかけ,検査プログラムを基板を製品に組み込んだときと同じ状態で動作させて,上記のような内容を検査します.インサーキット・テスタと違いマイコン基板の各機能ごとに検査します.これは自動的に,またはシーケンスによってチェックします.一般的にファンクション・テスタは,マイコン基板ごとに用意します.
●後処理,出荷
プリント配線板に部品が実装され,すべての検査をパスすれば,製品として完成します.
製品によっては使用環境への対応のためにコーティングと呼ばれる皮膜でボードや部品を覆ったり,振動対策のために大型部品などをシリコンや接着剤などで固定するなどの工程が入ります.
これらの工程が終了すると出荷となります(写真13).
(a) 後工程
(b) 金具の取り付け
(c) 最終組み立て
(d) 最終検査
(e) 出荷検査
(f) 出荷
写真13 後処理と出荷
使用環境への対応のために皮膜でボードや部品を覆ったり,振動対策のために大型部品などをシリコンや接着剤などで固定するなどの工程がある.すべての工程が終了すると検査を経て出荷となる.
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