100Gの波長多重通信や散乱可視光の通信など,多様な発展を見せる光技術 ―― インターオプト2010

福田 昭

tag: 実装 電子回路

レポート 2010年10月 5日

 光学技術と光学製品に関する展示会「インターオプト2010」が,2010年9月29日~10月1日にパシフィコ横浜(横浜市西区)で開催された.インターオプトは2008年までは単独で開催されていたが,景気後退の影響で2009年は休止され,2010年は光関連の展示会「BioOpto Japan 2010」および「LEDジャパン 2010」との併催となった(写真1).3展示会合計の来場者数は12,213名である.

写真1 展示会「インターオプト2010」の案内看板
同じ会場で「BioOpto Japan 2010」と「LEDジャパン 2010」が併催されている.

●光波長多重通信の帯域をオンデマンドで動的に制御

 「インターオプト2010」の光通信技術に関する展示では,100Gビット/sと高速の光波長多重(WDM)通信の帯域をオンデマンドで動的に変更するシステムの実演展示が注目を集めていた(写真2).独立行政法人である情報通信研究機構の委託研究「λ(ラムダ)アクセス技術の研究開発」の成果である.

写真2 100Gビット/sと高速の光波長多重(WDM)通信の帯域をオンデマンドで動的に変更するシステム

 1波長当たり10Gビット/sの光ファイバ通信チャネルを10波長分用意し,100Gビット/sの帯域を確保する(写真3).利用する波長数を必要に応じて切り換えることにより,帯域を効率よく使うことを狙った.展示ブースでは,10Gビット/s(1波長),20Gビット/s(2波長),40Gビット/s(4波長)を切り換えることでデータ転送速度の違いを4,000ピクセル×2,000ピクセルのディスプレイ(4枚の液晶ディスプレイを使ったマルチディスプレイ)で分かりやすく見せていた(写真4).また12Gビット/sのデータ転送によって4,000ピクセル×2,000ピクセルの画像を60フレーム/sで表示していた(写真5).

写真3 100Gビット/sの光波長多重通信ボード

写真4 航空写真の画像データを光波長多重通信で転送し,ディスプレイに表示しているところ
データ転送速度を20Gビット/sから40Gビット/sに上げて,表示速度が高くなる様子を見せていた.

写真5 4,000ピクセル×2,000ピクセルの高解像度画像を60フレーム/sで表示
表示コンテンツの説明画面.

 なお「λ(ラムダ)アクセス技術の研究開発」は産学協同の研究で,NTTNEC東京大学NTTコミュニケーションズ三菱電機日立製作所KDDI研究所慶應義塾大学が参画している.

●白色の散乱光でデータを送受信

 可視光通信や直流電力線通信などの開発企業であるアウトスタンディングテクノロジーは,白色光を使った可視光通信を実演していた(写真6).出力10Wの白色LED(発光ダイオード)の駆動回路に音声信号を重畳し,信号を送信する.壁面や机などで散乱された光を受光素子で受信し,音声信号を再生してみせていた.

写真6 白色LEDを使った可視光通信の実演
上方が白色LEDの光を壁と机に照射しているところ.中央の端末が受信器.白色LEDで送信し音声信号を受信器で再生してみせていた.

 散乱光を受信して信号を再生できるのは,受光素子に工夫があるからだという.ドーム状の反射板(凹面鏡)を受光素子の周囲に組み込んであるので,集光効率が高い.10mくらいの距離があっても通信が可能だとしている.

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