筐体の製造工場を見る ―― 板金加工と樹脂加工の概要
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技術解説 2010年10月21日
3.樹脂筐体ができるまで
樹脂を素材とする筐体が出来るまでを,樹脂加工の現場を見ながら紹介します.
樹脂は,家電製品から自動車,飛行機など,さまざまなところで使われています.板金と異なり電気を通さず,感電などを防止できるので,電装品の筐体としてよく使われています.
携帯電話のような小さな樹脂ケースであって,ここで紹介するような工程を経て出来上がっています.電子設計とは違う難しさや,職人的な技術も必要です.
●樹脂と型
樹脂成型とは,図2のように,製品の形を彫った型に樹脂を流し込んで形を作り出す方法です.原理は簡単ですが,その原型の型を作ったり,成型を行うまでにさまざまな工程を経る必要があります.
図2 樹脂成型の仕組み
製品の形を彫った型に樹脂を流し込んで形を作り出す.
樹脂成型の型は,金属のキャビ,コアという部分に分かれている雄型と雌型を作り,その間に樹脂を流し込む構造を採ります.冷却後,型を開くと,成型された製品が得られます.
●型の設計
製品の形状を基に,型の設計を行います.設計には,3次元図面作成ツールを利用します(写真11).型のキャビとコアをどのように分割するか,形状に問題がないかなどの確認にも,ツールを使います.
写真11 型の設計
型の設計には,3次元図面作成ツールを利用する.
製品を取り出す際に型を冷やすための冷却管の設計や,複雑な形状に対応するために流し込んだ樹脂を部分的に温めるヒータなどの設計も行います.
●型材料
型は,写真12のような金属の塊より作り出されます.これに加工を施して,樹脂の型になります.
写真12 型の材料
型は金属の塊を使って作る.
●冷却管加工
成型を行う場合には,ペレットとよばれる樹脂を溶かして,型に流し込みます.そして冷やし固めて,型より取り出します.
冷やすためには冷却管が使用されます.これはあらかじめ,型に彫られていきます.
●切削加工
コンピュータ制御の切削加工機により型を彫っていきます(写真13).3次元図面作成ツールで作成したデータをもとに,加工します.
(a) 制御パネルと切削スペース
(b) 内部で型を彫る
写真13 切削加工機
コンピュータ制御の切削加工機を用いて型を彫る.
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