インテグリティな技術コラム(5) ―― 差動インピーダンス
Appendix ミラー効果
図Aに示すように,増幅率Aの反転増幅回路の入力と出力との間に静電容量Cが存在する場合,入力電圧vに対して出力電圧は-Avとなります.
Cの端子間の電圧は,(1+A)vとなるので,入力端子からCを経由して出力に流れる電流をiとすると,
......... (A-1)
が成り立ちます.式(A-1)を書き換えると,
......... (A-2)
となります.入力端子には電圧vを加えているだけなので,等価的にCが1+A倍になっていることを意味します.このことをミラー効果といい,1+A倍になった容量のことをミラー容量といいます.
この大きくなった容量により,周波数特性が悪化するのを防ぐために,カスコード(cascode)接続という素晴らしい方法が用いられました.本論から外れるので説明は省きますが,「カスコード接続」で検索するといくつも見つかるので,興味のある方は調べてください.カスケード(cascade=縦続)接続と発音は似ていますが,全く関係ありませんので,念のため.
うすい・ゆうぞう
シグナル インテグリティ コンサルタント
http://home.wondernet.ne.jp/~usuiy/