高機能ビデオ・カメラや入出力ボードなど,産業用の画像処理システムを構築するための要素技術が一堂に ―― 画像センシング展 2010

北村 俊之




●100万フレーム/sを実現した高速度ビデオ・カメラを展示


 島津製作所は,100万フレーム/sの撮影速度を実現した高速度ビデオ・カメラ「HyperVision HPV-2A」を展示した(写真6).本ビデオ・カメラは,材料破壊や流体力学,燃焼,スポーツ・サイエンスなどの分野において,従来とらえらることが難しいとされてきた高速現象の撮影に利用できる.


 本ビデオ・カメラは,独自開発のイメージ・センサ「IS-CCD」を搭載している.IS-CCDは,同社と近畿大学理工学部の江藤 剛治教授の共同研究により開発されたセンサ・チップの中に画像蓄積部を設けることで実現した.解像度は312ピクセル×260ピクセル.最大4台のカメラをつないで同期撮影が行える.撮影画像はAVIやBMPなどの汎用フォーマットで保存できる.




(a) 高速度ビデオ・カメラ



(b) IS-CCD

写真6 島津製作所の「HyperVision HPV-2A」




 モーション・キャプチャ・システムや高速度カメラなどのメーカであるディテクトは,同社の高速度ビデオ・カメラ「HAS-D3」を2台組み合わせて,3D映像を撮影するデモンストレーションを行った(写真7).HAS-D3は,1696ピクセル×1710ピクセルのイメージ・センサを内蔵する.SVGA(800ピクセル×600ピクセル)の映像を2000フレーム/sの速度で最大10万フレーム分,撮影可能.感度が高く,例えば照明を当てられない被写体でも高速に撮影できるという.モノクロ,カラーの両タイプを用意する.撮影画像はAVIやBMPなどの汎用フォーマットで保存できる.




写真7 ディテクトの「HAS-D3」




●1200万画素,25フレーム/sの高精細ビデオ・カメラを参考展示


 東芝テリーは,1200万画素,25フレーム/sのCMOSイメージ・センサを搭載した高精細ビデオ・カメラを参考展示した(写真8).本カメラは,全画素について同一のタイミングで露光を行うグローバル電子シャッタを採用しており,動きの早い被写体に対してブレの少ない鮮明な映像を撮影できるという.


 本ビデオ・カメラでは,外部トリガ入力信号により任意のタイミングで画像を取り込んだり,転送したりできる.WOI(Window of Interest)機能を備えており,水平アドレスと垂直アドレスを指定して任意の矩形領域だけを取り出すことも可能.また,マルチスロープ機能により,広ダイナミック・レンジを実現している.




写真8 東芝テリーが展示した高精細ビデオ・カメラ




●最大150万点の膜厚分布を同時に測定


 研究・開発支援や製造・検査支援などの事業を行っているJFEテクノリサーチは,最大150万点の膜厚分布を同時に測定・表示できる装置「FiDiCa」を展示した(写真9).0.1μm~50μmの薄膜の膜厚を測定できる.ガラス・樹脂免状のコーティング,シリコン・ウェハや金属上の表面酸化膜,機能性フィルムなど,さまざまな対象表面の測定に利用可能.測定結果は,カラー・マップまたは鳥瞰図表示される.


 本測定装置は,高精細と高速の二つのモードを備えている.高精細モードでは,A4サイズの対象を1024ピクセル×1536ピクセル(0.2mmメッシュ)の解像度で測定できる.測定時間は10分.一方,高速モードでは,A4サイズの対象を64ピクセル×96ピクセル(3.2mmメッシュ)で測定する.測定時間は15秒.


 分光干渉法を利用して測定する.イメージング分光器には同社の製品であるImSpectorを利用している.




写真9 JFEテクノリサーチの「FiDiCa」


 


 


きたむら・としゆき


 

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