圧電素子を利用して高精細画像を取得するカメラやリアルタイムに対象物の動きを検出するシステムに注目が集まる ―― '08画像センシング展

組み込みネット編集部

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2008年6月17日

 FA機器などの画像処理技術に関する展示会「'08画像センシング展」が,2008年6月11日~13日,パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区)にて開催された(写真1).出展社数は207社,来場者数は17,495人.

 会場では,一つのCCD画像センサを圧電素子によって数μmずらすことで高精細な画像を取得するシステムや2台のカメラ画像から20msで対象物の動きを検出するシステム,画像のぶれを補正する技術などのデモンストレーションが行われた.まさにFA用途に適した最新の技術が来場者の注目を集めた.

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[写真1] '08画像センシング展の会場入り口
2008年6月11日~13日,パシフィコ横浜で開催された.

●3CCD相当の画像を一つのCCDで取得

 グランベル精密は,一つのCCD画像センサで3CCD相当の高精細画像を取得できるカメラ・システム「GBX100」を展示した(写真2).レンズやカラー・フィルタに対してCCD画像センサを数μmずらすことで,見かけ上の画素数を増やしたり,偽色のない画像を取得したりできる.画像センサは市販の140万画素カラーCCD(SXGA用2/3インチ)で,量子化ビットはR,G,B各12ビット.

 画像センサの1画素は6μm.圧電素子を利用することで2μmの細かさで上下左右に各6ステップずらすことが可能.これにより,RGBで構成されたカラー・フィルタを上下左右に1画素ずらして撮影したことになる.こうして撮像した4枚の画像を再構成することで,3CCD相当の画像を取得する.

 画素ずらし機構を利用することで,最大4116ピクセル×3072ピクセルの画像を取得できる.

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[写真2] 圧電素子でCCD画像センサを動かし高精細な画像を取得するGBX100の外観

●対象物の動きを抽出するシステム

 応用計測研究所はリアルタイム3次元動作計測システム「QuickMAG Ⅳ TYPE2」を展示した(写真3).2台のカメラで撮像した画像の中から,チャネルごとに登録された色を2値化し,2値化された対象物の中心座標を取得する.この処理にかかる時間は2ms.カメラの1フレーム取得にかかる時間17msと合わせても,最大20msで対象物の座標を取得できる.

 同社では,ロボット・アームや動的装置の外部からの動き検出,構造物や電線などの揺れの計測に向くとする.

 同時並列計測点は最大16,最大接続カメラ数は6.インターフェースとして,モニタ出力や8ビット・パラレル・データ入出力,GPIB入出力を持つ.

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[写真3] 2台のカメラを利用し,16個の対象物の動きを抽出するQuickMAG Ⅳ TYPE2の外観

●画像のぶれを補正する技術を展示

 京セラオプテックはカメラで撮影した画像のぶれを補正する技術を展示した(写真4).生産ラインなどにおける被撮影物の振動を見かけ上,除去できる.

 入力画像サイズは640ピクセル×480ピクセル,フレーム・レートは30フレーム/s.ぶれの補正範囲は画角比で10%以内.補正して切り出した512ピクセル×384ピクセルの画像を640ピクセル×480ピクセルにリサイズして出力する.入出力遅延は3フレーム/s以下である.

 会場では,米国Texas Instruments社のDSP開発ボード「TMS320DM6437EVM」上に補正プログラムを実装し,プリント基板に加えた振動を除去して見せた.

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[写真4] 補正技術をプリント基板の画像に適用した例(右が原画像,左が補正後)

●外観検査などの判定結果を出力するカメラ

 米国National Instruments社は,画像処理機能を備えるインテリジェント・カメラ「NI Smart Camera:NI 1742」を展示した(写真5).従来のFA用カメラは取り込んだ画像をCamera LinkやIEEE1394などの高速インターフェースを介してパソコンなどに転送する.本カメラは533MHzで動作する米国Freescale Semiconductor社のPowerQUICC II Proプロセッサを内蔵しており,画像処理をカメラ内で行う.生産ラインにおける外観検査や文字認識,パターン・マッチング,バーコード読み取りなどが可能.

 本カメラは,640ピクセル×480ピクセルのモノクロCCD画像センサやLEDライティング・コントローラ,2個のギガビットEthernetポート,絶縁型のディジタルI/Oチャネル,Cマウント・レンズ取り付け口などを備える.

 コントロール・プログラム開発用ソフトウェア「Vision Builder AI」が付属する.価格は302,000円.

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[写真5] 外観検査などの判定結果を出力するNI 1742の外観

●バックライトの明るさを測定するシステム

 ゼロ・コアは2次元輝度計測システム「ZERO-ONE」を展示した(写真6).測定結果を疑似カラー表示したり,輝度ヒストグラムを表示したりできる.液晶ディスプレイのバックライトやプリズム・シート,拡散シート,照明の照射エリアなどの輝度測定に向く.

 本システムは,同社製CCDカメラ,画像解析専用ボード,ブラウザ・ソフトウェアから構成される.測定対象エリアは718ピクセル×512ピクセル,測定ポイントは60点.明るさの分解能は10ビットで,最低被写体輝度は0.003cd/m2である.価格は270万円.

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[写真6] 2次元輝度計測システムZERO-ONEの外観

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