高機能ビデオ・カメラや入出力ボードなど,産業用の画像処理システムを構築するための要素技術が一堂に ―― 画像センシング展 2010
2010年6月9日~11日の3日間,パシフィコ横浜(横浜市西区)にて,画像処理技術の総合展示会「画像センシング展 2010」が開催された(写真1).今回で25回目を迎える本展示会は,「画像センシング技術研究会」を開催母体とする「第16回 画像センシングシンポジウム:SSII2010」の併設という形で催された.マシンビジョンなどの外観検査装置や計測装置,生産現場で活躍する画像処理装置,そして自動車・交通(ITS),セキュリティ,教育・娯楽・サービス,医療など,多岐にわたる分野の画像処理装置が一堂に会した.
また今回から,計測やシステム・インテグレションについてのゾーンを新設した.画像処理だけでは実現できない高精度の計測システム,および画像計測技術に基づくシステム・インテグレーションの事業にかかわる企業が出展した.主催はアドコム・メディア.
写真1 会場受付の様子
●画像フリーザやライン・センサ・ブレンダなどを展示
画像処理機器メーカのスタックは,DVI/HD-SDI画像フリーザ装置「HDF-200」(写真2)やライン・センサ・ブレンダ装置「LSB-400」(写真3)などを展示した.
HDF-200は,フルHDカメラの映像信号(DVIまたはHD-SDI)を取り込み,外部からの制御信号によって映像を停止させ,静止画像をモニタに出力する装置である.メモリ・カードへの画像記録機能や,ネットワークを介したパソコンへの画像転送機能を備える.
LSB-400は,最大4台のライン・センサ・カメラの画像を合成して出力する装置.入力はCameraLink Base Configuration,出力はCameraLink Base Configurationおよび同Medium Configurationに対応する.付属のソフトウェアを使って画像をトリミングできる.合成して出力するため,CameraLink Medium対応のキャプチャ・カード1枚で4チャネルの画像を取り込める.
写真2 スタックの「HDF-200」
写真3 スタックの「LSB-400」
●視覚ロボット向けズーム/オート・フォーカス・カメラを開発
情報・通信機器の開発会社であるテクノスコープは,3次元視技術の研究開発ベンチャであるBi2-Visionが開発したIEEE 1394b対応のズーム/オート・フォーカス・カメラ「Bi2-Cam1394-1」を展示した(写真4).
本カメラは,視覚センサを備えるロボット向けに開発した.光学部の解像度は200万画素で,ハイビジョン画質の映像を取り込める.光学10倍ズームやオート・フォーカスの機能を備えている.映像信号の取り込みや光学部の制御は,1本のIEEE 1394ケーブルで行える.IEEE 1394端子を2ポート備えており,複数の本カメラをデイジ・チェーン方式でつないでパソコン用の画像入力ボードに接続することも可能.これにより,多数のカメラからの映像を取り込む際のシステム構成がシンプルになる.光学部のカメラ・モジュールには,ソニーの「FCB-H11」を使用している.
写真4 Bi2-Visionの「Bi2-Cam1394-1」
●3枚のボードを組み合わせてディジタル画像検査システムを構築
イメージ・センサ機器などの開発会社であるRosnesは,ディジタル画像検査システムを構築できる画像処理ボード群「SVシリーズ」を展示し,デモンストレーションを行った(写真5).画像処理装置の処理内容の検証に利用できる.本ボード群は,パソコンに保存したディジタル・データを取り込む画像記録ボード(イメージ・レコーダ)「SVIシリーズ」,検査用のテスト・パターンを生成する画像データ生成ボード(イメージ・ジェネレータ)「SVOシリーズ」,画像表示ボード(モニタ・ボード)「SVM-01」などで構成される.これらのボードは,画像・計測・制御機器などの開発会社であるスカイウェアが開発した.
USB 2.0ケーブルを介して,パソコンと接続して使用する.データ入出力のビット幅は最大16ビット,データ転送周波数は80MHz(伝送速度は1.28Gbps,160Mバイト/s).ボード上には標準で128MバイトSDRAMが搭載されており,最大256Mバイトまで増設できる.パソコン転送モードと記録モードの切り替えは,ボード上のCPUによって制御する.
写真5 スカイウェアの「SVシリーズ」