Twitterを使って技術系コミュニティを立ち上げよう!(1) ―― MATLABイベントにTwitterを活用した
●Twitterは炎上しにくい仕組みになっているが,特性の理解も必要
もう一つ社内から寄せられた懸念は,ブログやオンライン・フォーラムのように炎上しないかということです.しかし従来の媒体に比べて,以下の理由からTwitterは炎上しにくいと思います.
- Twitterでは,自分のタイムライン注3は自分しか見られない(ほかのユーザのタイムラインを見ることはできない).
- 会話が成立するためには,相互フォロー注4している必要がある.
- タイムラインはリアルタイムで流れていくので,過去のつぶやきはどんどん消えていく.
つまり,当事者同士でないと何の話をしているかよく分からず,つぶやきが非常に一過的で残らないのです.
注3:タイムライン ― つぶやきを時系列で並べたもの.デフォルトでは,ユーザ本人のつぶやきが表示される.
注4:フォロー ― 興味を持ったほかのユーザの発言を自分のタイムラインに追加すること.
過去に炎上した事例を見ると,ソーシャル・メディアの特性を理解していなかったことに起因するケースが多いようでした.そこで筆者は「Twitterに対する基本姿勢」として,ユーザの声に「傾聴する」ことにしました(図4).

図4 MATLAB EXPOのTwitter プラン - 基本姿勢
●Twitterアカウント立ち上げの際に使い方も紹介
いよいよTwitterの運用開始です.「MATLAB EXPO」のアカウント,@matlabexpoを取得注5して,2009年9月11日にMATLAB EXPOの Webサイトと同時に運用を開始しました.MATLAB EXPOのWebサイトでは,Twitterアカウントへのリンクを掲載し,またTwitterが初めての方でも興味を持ってもらえるように,「Twitterの使い方」というページをも用意しました.さらに,後で結果を分析できるように,つぶやき回数やフォロワー数注6などの基本データについても集計していきました.
注5:2010年4月28日にアカウント名を変更し,現在は@matlab_jpで運用している.
注6:フォロワー数 ― 特定のアカウントがほかのユーザからフォローされている数のこと.そのアカウントの人気度やその発言の影響力を示す指標となる.
「つぶやき」は1日1講演を目標に,MATLAB EXPOの講演内容の紹介をしました.内容は講演名,概要,キーワード,ターゲットとMATLAB EXPOのWebサイトへのリンクを含めました.ほかにはMATLAB関連技術情報や,イベント情報,業界ニュースについてつぶやいたり,Retweet注7を行いました.さらに「MATLAB」というキーワードを含むつぶやきを検索し,フォロー依頼をすることを習慣にしました.これにより,フォロワー数が増加しました.
注7:Retweet ― Twitterでは,面白い発言は積極的に再配信するという文化があり,これをRetweetという.この仕組みにより,つぶやきがフォロワーの枠を超えて伝播する口コミ効果が生まれる.
12月2日のMATLAB EXPO当日は,未登録の方でも受付が可能であることをつぶやくことで来場を促しました.そして,講演が始まるとEXPO会場から複数の方のTweetをいただいたので,それらに一部お礼のコメントをつけてRetweetしました.イベント前は一方的な「情報配信」の傾向でしたが,参加者からのつぶやきにより,Twitterのリアルタイム性やインタラクティブ性が実感できました.
イベント後は,MATLAB EXPO講演資料ダウンロードページの案内や地域開催のMATLAB mini EXPOの案内をつぶやきましたが,その後はMATLAB全般の話題を中心にしていきました.
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今回は,筆者がMATLAB EXPOに向けてTwitterを始めるきっかけから,実際の運用についてご紹介しました.次回は,Twitter活用の結果についてご紹介します.
たけうち・としあき
米国MathWorks社 Senior Interactive Marketing Manager
しばた・ゆうこ
MathWorks Japan マーケティングプログラム部 Webマーケティング スペシャリスト