Twitterを使って技術系コミュニティを立ち上げよう!(3) ―― 舞い込んだ出会いとMATLABコンテスト
前回は,MATLAB EXPOというリアル・イベントをきっかけに始めたTwitterの活用結果を,得られたデータを通して紹介しました.今回は,その後Twitterによって新たな出会いが生まれ,思いがけない方向に話が進展していった事例を紹介します.
●Twitterをきっかけに始まったMATLABコンテストの日本展開
それは突然始まりました.2010年3月22日,いつもの通りにTwitterで「MATLAB」を検索すると,次々とMATLABコンテストについての発言が流れてきたのです.さっそく,筆者がMATLABコンテストについて知っている内容を発言者に向けて投げたところ,「Wikiばな」という集まりでMATLABコンテストが話題になったことを,発表者である塚本 牧生氏からのお返事で知りました.
●Wikiばなとは
Wikiばなとは,Wikiやそれに関連する話題を語り合うオフラインの集まりであり,MATLABと直接には関係ありません.その回は,たまたま「Wikiと集合知」をテーマにした会合で,Wiki的な手法を取り入れたプログラミング・コンテストとして,MATLABコンテストが話題になったそうです.発表された塚本氏にお伺いしたところ,Jeff Howe著「クラウドソーシング」で紹介された内容を参考にされたとのことでした.
●MATLABコンテストのWiki的な展開
1999年以来,MathWorks社はプログラミングの腕を競うMATLABコンテストを年に2回開催しています.このコンテストのユニークな特徴は,参加者がほかの参加者の投稿したプログラムを改変して何度も投稿することが奨励されている点です.
コンテスト期間:1週間
- 1日目「Darkness」― ほかの参加者のエントリの得点ランキングやコードを見ることはできません.
- 2日目「Twilight」― ほかの参加者のエントリの得点ランキングを見ることはできますが,コードは見ることができません.
- 3日目以降「Daylight」― ほかの参加者のエントリの得点ランキングやコードを見ることができ,自由にコピーが可能になります.
このコンテストでは金銭的に価値のある賞品や賞金はなく,優勝者には簡単な記念品が提供されるのみです.むしろ,優秀なほかの競技者との腕試しによる参加者間での認知や評価が,参加者にとって重要なモチベーションになっています.
この仕組みが,「集合知」の例として有名なオンライン百科事典ウィキペディアの運用ルールと共通するところがあるのではないか,というのが,Jeff Howe著「クラウドソーシング」やWikiばなで取り上げられた理由です.