開発エンジニアのためのiPhone活用法(2) ―― iPhone抵抗値計算アプリでカラー・コードや刻印から抵抗値を求める
● Resistor Color Decoder/Coder (115円)
これまで無料アプリをいくつか見てきましたが,最後に有料アプリを一つ紹介します.Resistor Color Decoder/Coderは,抵抗器の標準数列に対応した抵抗値計算アプリです(4).
標準数列とは日本では「JIS C 5063」で規定されている等比数列で,抵抗器の抵抗値やコンデンサの容量値はこの数列を元に決められています.LED Resistのところでも少し書きましたがE系列などと呼ばれており,E6系列やE12系列といった言葉を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか.しかし抵抗値計算アプリでこの標準数列が出てくるものはこのResistor Color Decoder/Coder以外になく,たいへん不思議に思います.
Resistor Color Decoder/Coderではその名の通り,カラー・コードから抵抗値を算出するモード(図10)と,抵抗値からカラー・コードを導くモードの二つの機能があります(図11).前者は色をタップ&ドラッグして抵抗の上に持っていくユーザ・インターフェースになっており,あまり使いやすいとはいえませんでした.実際に試してみると分かりますが,抵抗の上にすでに置いてあるほかの色を上塗りしてしまうことが多いのです.
カラー・コードを導くモードでは,まず誤差を選択する画面になり(図12)これを入力すると抵抗値を入力する画面(図13)に移行します.この画面にある数字ボタンの右側に標準数列の一覧が出てくるので,ここに出てくる数値を選んでおけば,存在しない抵抗器を探してしまうようなことがなくなります.標準数列を直接タップして入力できると楽なのですが,残念ながらそこまではできませんでした.数字を見ながら手で入力していくことになります(一応,入力した数字に対応するところまでスクロールしてくれる).
また,横画面にも対応しています(図14).過去の履歴も4件表示されるなど,115円とはいえ有料だけのことはあるなと思います.
App Storeを見ていると,どちらかというと現場の技術者向けというより趣味の電子工作,あるいは教育向けのアプリケーションが多いようです.あまり実践的でないと感じることが多いのですが,抵抗値計算アプリはiPhoneを使っていない人に紹介するのにも非常に分かりやすいアプリです.試しに無料のものを一つインストールしてみてもよいのではないでしょうか.
● アプリケーションのリンク先,参考文献
(1) Flying Monkey Enterprises;iRegist,http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=285823926&mt=8
(2) Christopher Brown;ResistorCode;http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=291621340&mt=8
(3) Ralf Mayet;LED Resist,http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=301377909&mt=8
(4) Andrei Ossipov;Resistor Color Decoder/Coder,http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=325406930&mt=8
(第3回に続く)
おおき・しんいち
◆筆者プロフィール◆
大木 真一.無職,兼学生(アルバイトを二つかけもち中).Apple Scriptがあまりにもマイナなので,むしろ「使ってやろう」という気になっています.