USB 3.0規格のFAQ(2) ―― SuperSpeed USBはいかにして高速伝送を実現しているのか?

畑山 仁

tag: 実装 電子回路 Interface

技術解説 2009年8月26日


Q.送信側と受信側でリファレンス・クロックが異なると,データを取り損ねることはないのか?
A.受信側にエラスティック・バッファを設けて速度差を吸収している.


 受信側の物理層は送信データに同期させたクロックでデータを取り込むため,そこで差が出ることはありません.一方,ロジック側では別々のリファレンス・クロックを使用しているため,クロックの速度差によって影響が現れます.そのため,skipオーダード・セット(SKPOS)と呼ばれる特定の特殊文字列(二つのK28.1で構成)の挿入・削除により,リンク内の送信側と受信側のクロック周波数偏差を吸収します.

 レシーバは,エラスティック・バッファによって受信してデシリアライズしたデータを一時的にバッファリングし,skipオーダード・セットの挿入・削除を行います(図22).規格ではトランスミッタは,平均354シンボルごとにskipオーダード・セットを挿入する必要があります.エラスティック・バッファは,skipオーダード・セットの周期を踏まえて,スペクトラム拡散クロックの影響を含む送信側と受信側のクロック周波数差に対応できる容量が必要になります.



図22 エラスティック・バッファの動作原理

 

 図23は,レシーバへのデータとレシーバが受信したデータをトランスミッタから返送させる,ループバックという方法を使って比較したものです.図23(a)ではD7.1に続いて挿入された2個のK28.1(SKPOS)が,図23(b)では4個に増えています.また,図23(c)ではD18.1とD29.1の間に挿入されていた2個のK28.1が,図23(d)では抜かれています.




(a) レシーバへのデータ1



(b) 2個のK28.1(SKPOS)が挿入されている




(c)レシーバへのデータ




(d)2個のK28.1(SKPOS)が抜かれている
図23 レシーバへのデータとレシーバが受信したデータを比較

 

(第3回に続く)


畑山 仁
日本テクトロニクス(株)


 

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日