USB 3.0規格のFAQ(1) ―― 信号波形からSuperSpeed USBを理解しよう

畑山 仁

tag: 実装 電子回路 Interface

技術解説 2009年8月17日


Q.8b/10b符号化とは?
A.8ビット・データを10ビット・データ(シンボル)に変換して送信する技術.


 8b/10b符号化では,8ビット・データが上位3ビットと下位5ビットに分けられます.これにデータ文字(256種類)か特殊文字(16種類)かの制御を加え,また同じ符号('0'または'1')の連続が5ビット以下となるようにして,上位4ビットと下位6ビット(合計10ビット・データ)に変換(符号化)されます.送信中の符号列の'0'と'1'の数をそろえてDCバランスをとり,情報の欠落が生じにくくするために,各文字は4ビット側,あるいは6ビット側,またはその双方で'0'と'1'が反転した2種類のパターンを持ち,送信した文字の'0'と'1'の数に応じてパターンを切り替えます.これをランニング・ディスパリティと呼びます.符号の'0'と'1'の数が同じ場合は反転パターンを持ちません(図13).なお,データの切り出し(シンボル・ロック)にはK28.5という特殊文字を使います.



図13 8b/10b符号化の概念図

 

 同じ符号の連続が5ビット以下のため,データ・パターンの周波数の拡がりが抑制され,信号の安定性が向上します.DC成分が抑制されているので,AC結合が可能です.またデータ遷移密度が高いため,受信側のクロック・リカバリ回路のPLLは受信信号に容易に同期(ロック)します.

 8b/10b符号化は1982年に米国IBM社によって考案され,特許が取得された技術です.今日の多くのシリアル・インターフェースで8b/10b符号化が採用されています(すでに特許は切れている).ただし,オーバヘッドが20%(8ビットを10ビットに変換する)あり,実際に送信されるデータの中の80%が有効なデータとなります.つまり5GbpsのUSB 3.0では4Gbps,すなわち500Mバイト/sが実質的なデータ転送レートとなります.

 オーバヘッドを減らすために,64b/66b,64b/67b,128b/130bなどの符号化方式も考案されており,これらを採用しているインターフェースもあります.

(第2回に続く)


畑山 仁
日本テクトロニクス(株)

 

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