USB 3.0規格のFAQ(1) ―― 信号波形からSuperSpeed USBを理解しよう
USB 3.0とUSB 2.0の波形を実際に見てみましょう.USB 2.0は手元にあったUSBメモリをテスト・フィクスチャに接続し,差動プローブをテスト・フィクスチャに接続して測定しました.USB 3.0はNECエレクトロニクス株式会社製のホスト・コントローラ(PCI Expressアドイン・カード)にUSB 3.0ショート・ケーブル(プラグA-プラグB)を使ってテスト・フィクスチャに接続し,テスト・フィクスチャとオシロスコープをSMAケーブルを使って直結しました(表2を参照).前者はテスト・モードに入れるためのユーティリティ(USB-Implementers Forum製)をパソコンに搭載し,USBメモリ内のレジスタを設定します.一方,後者はこの構成で自動的にコンプライアンス・テスト信号を送信します.
USB 2.0ではバースト状に信号が送信されます(図5).一方,USB 3.0では連続した切れ目のない信号が流れます(図6).
USB 2.0のバースト先頭部分には,32ビット分「1010」が繰り返されたシンク・パターンが付加されています(図7).USB 3.0にはこういうパターンはありません.8b/10b符号では,最大でも5ビットに必ず信号が変化するようにビット遷移密度を高め,受信側のPLL(Phase-locked Loop)が受信信号に連続して同期(ロック)するようになっています.
さらにシンク・パターンを拡大し,カーソルを使用してデータ・レートを測定してみました.最小のビット幅にカーソルを合わせて周波数(1/Δt)として測定してみると,480MHz,すなわち480Mbpsとなりました(図8).ここには測定値を表示していませんが,波形の立ち上がり時間は600ps程度です.
同じ方法を使ってUSB 3.0の波形でデータ・レートを測定してみました.5GHz,すなわち5Gbpsとなりました(図9).波形の立ち上がり時間は60ps程度です.波形が若干汚く見えますが,ビット変化の有無により信号レベルを変えるデエンファシスを適用しているためです.