ハイブリッド・カー「インサイト」vs.新型「プリウス」,技術展示でも火花を散らす ―― 人とくるまのテクノロジー展(自動車技術展)2009レポート
このほか,マツダが,水素ロータリ・エンジンとハイブリッド・システムを組み合わせたハイブリッド・カー「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」の実車を展示していた(写真6).2009年3月からリース販売を始めている.
[写真6] 水素ロータリ・エンジンを搭載した,マツダのハイブリッド乗用車「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」
「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」のロータリ・エンジンは水素とガソリンの両方を燃料として利用できる.このエンジンと,最高出力110kWの交流同期モータ,交流同期発電機,インバータ,リチウム(Li)イオン2次電池などを組み合わせてハイブリッド・システムを構成した.外形寸法は3ナンバ・サイズとなっており,全長4,565mm×全幅1,745mm×全高1,520mmである.
●量産が近付く電気自動車
2次電池とモータをパワー・トレーンとする電気自動車では,三菱自動車工業と富士重工業,日産自動車がそれぞれ車両を展示していた.
三菱自動車工業は,2009年夏の発売を目指して開発中の電気自動車「i MiEV(Mitsubishi innovative Electric Vehicle)」を展示した(写真7).ガソリン・エンジンの軽自動車「i(アイ)」をベースに,エンジンやトランスミッション,燃料タンクなどを外し,代わりにモータ,インバータ,充電器,リチウム・イオン2次電池などを組み込んだ車両である(詳細は昨年のレポートを参照されたい).
[写真7] 三菱自動車工業の電気自動車「i MiEV(Mitsubishi innovative Electric Vehicle)」
富士重工業は,電気自動車「スバル プラグイン ステラ プロトタイプ」を展示した(写真8).2009年7月に量産車を市場に導入する計画である.「スバル プラグイン ステラ プロトタイプ」は軽自動車「ステラ」をベース車両とする.外形寸法は全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,660mm.車両重量は1,010kg,乗車定員は4名である.最高出力47kWの永久磁石型同期モータをリチウム・イオン2次電池で駆動する.動力性能は最高時速100km,1回充電当たりの走行距離は80kmとかなり短い.
[写真8]富士重工業の電気自動車「スバル プラグイン ステラ プロトタイプ」
日産自動車は電気自動車の実験車両「EV-01」を出展した(写真9).同社は2010年秋に電気自動車の量産を年間5万台の規模で開始することを公表済みである.既存の車両をベースとするのではなく,新規に車両を設計する予定だ.実験車両は最高出力80kWのモータとリチウム・イオン電池を搭載し,最高時速140kmの動力性能と160km以上の航続距離を目指す.
[写真9] 日産自動車の電気自動車実験車両「EV-01」
●アルコールとガソリンが使えるモータ・サイクル
自動車以外では,アルコールとガソリンの両方を燃料に使える二輪車「CG150 TITAN MIX」を本田技研が展示していたのが目を引いた(写真10).ブラジル市場向けで,2009年3月に市販を始めた.燃料噴射を電子制御しており,排気ガスの酸素濃度や吸気温度,スロットル開度などから最適な点火と燃料噴射のタイミング,燃料噴射量を算出する(写真11).
[写真10] アルコールとガソリンの両方を燃料に使える二輪車「CG150 TITAN MIX」
[写真11] 二輪車「CG150 TITAN MIX」の説明パネル
ブラジルではサトウキビから砂糖を生産する過程で副生成される廃液から,アルコール燃料を生産している.このアルコール燃料はガソリンに比べると単価が約4割も低いほか,ガソリンに比べると大気中への二酸化炭素の排出を抑制することにつながる.ただし二輪車はキャブレタ制御が主体であるため,ガソリンとアルコールの両方には対応しづらい.「CG150 TITAN MIX」電子燃料噴射制御のため,ガソリンとアルコールを混合した燃料でも正常に走行する.
ふくだ・あきら
テクニカルライター/アナリスト
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