システム技術者のための測定ワンポイント・テクニック(1) ―― 机上で放射ノイズの発生源を突き止める

津野 徹

tag: 実装 電子回路

技術解説 2008年10月29日

(2)回路中のノイズにはアクティブ・プローブまたは1:1プローブ

 電子回路中のノイズは,オシロスコープのプローブなどで直接測定します.しかし,このプローブをスペクトラム・アナライザで利用すると,ノイズ信号が減衰し,測定感度が落ちてしまいます.オシロスコープで利用する10:1プローブでは,9MΩの直列抵抗を持ちます.これを50Ω入力のスペクトラム・アナライザに接続すると信号が著しく減衰するからです.

 スペクトラム・アナライザでプローブを利用するのであれば,出力インピーダンスが50Ωのアクティブ・プローブが最適です.しかし,対応する電圧範囲が±10V以下なので使いにくい面もあります.また,±15Vの電源などに接続したら,5万円もする高価なアクティブ・プローブを一瞬のうちに破壊してしまいます.

 そこで筆者は,オシロスコープ用の1:1プローブを使っています.1:1プローブといっても,反射を防ぐために数百Ωの抵抗線を使用しています.直接,スペクトラム・アナライザの50Ω端子に電圧が掛かるわけではなく,ちょうど1/10位に減衰されて入力されます.そのため,高価なスペクトラム・アナライザを破壊しないで済みます.

 ただし,周波数帯域が30MHz程度しか取れません.1:1プローブは,メーカにより抵抗値が一定ではないので,使用する前にテスタで抵抗値をチェックしておくことがポイントとなります.

(3)自作プローブを利用するのも手

 さらに簡単な方法を紹介します.50Ω同軸ケーブルの先端に抵抗をはんだ付けして,スペクトラム・アナライザに接続します.450Ωならば10:1で,4.95kΩならば100:1のプローブが完成します.周波数特性を良くしたいときは図1の定抵抗回路の原理を利用して,抵抗と並列に数pFのトリマ・コンデンサを接続し,トラッキング・ジェネレータで周波数特性を補正します.各種プローブの原理を図2に示します.

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図1 定抵抗回路の原理

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図2 各種プローブのインピーダンス

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