携帯電話プラットホームは技術者を幸せにしたのか?(4) ―― プラットホームの新展開
●今後はどうなるのか?
国内の携帯電話メーカは,飽和している国内市場に対して,進出してきたiPhoneやBlackBerryなどのプロプライエタリ・ソフトウェア(非フリー・ソフトウェア),そして,海外の携帯電話メーカの進出を迎え撃たなければならない.既にBIG 5は日本市場に参加しているが,まだまだ国内でのシェアは低いのが現状である.シェア争いが活発になるのは2009年以降,これからである.
国内市場はキャリア主導でサービスや携帯端末仕様を作ってきており,携帯電話メーカが中心となってきた海外市場とは異なる.しかし,オープン・ソース・プラットホームは,国内と海外の壁を急速に壊す可能性がある.国内の携帯電話メーカは海外進出を,海外携帯メーカは日本市場拡大を進めやすくなるだろう.技術者にとっては,標準化された規格のソフトウェアを開発して,各プラットホームに移植することに集中できるので,より良いものが作れる環境とも言える.
●そして,技術者は幸せになったのか?
最後に,今回のメイン・テーマの結論を述べよう.
携帯電話のプラットホームは,市場に対して品質の安定した端末を短い周期で提供できるようにしたという大きな成果を上げた.開発者にとっても,2~3カ月周期で携帯電話をリリースしている割には,(統合プラットホーム導入前のように)労働時間が異常に長いということはなくなった.
統合プラットホームの存在によって,機能やユーザ・インターフェースの開発は,それぞれの専門家が専門の知識や経験を生かして開発できるようになった.それは,開発者にとってはより技術力をアピールしやすい環境になったということであり,企業間においてもある程度の色分け,棲み分けが行われた.技術の専門性や特殊性を志した技術者にとっては,恵まれた環境が整ったと言えるだろう.