携帯電話プラットホームは技術者を幸せにしたのか?(3) ―― 統合プラットホームの登場

吉田 昌平

tag: 組み込み

コラム 2008年9月25日

 2000年~2002年前半にかけて,携帯電話メーカ各社はそれぞれ携帯電話プラットホームを作った.しかし,それらのプラットホームのコード量やメンテナンス工数,検証工数などは増大したままだった.また,各携帯電話メーカごとに仕様の解釈が違ったものか,端末の動作が一致せず,品質面でも不均衡であり,携帯電話の利用者にとっては,機能やデザインよりも,ユーザ・インターフェースの使いやすさと品質の安定度が選択の動機になっていた.

 これはキャリア(携帯電話のサービス会社)にとっても困った問題であり,一部のキャリアでは,この問題を解決するために,携帯電話の仕様だけではなくプラットホームそのものを提供するようになっていった.キャリアが仕様と合わせてプラットホームを提供することで,仕様の解釈を統一でき,品質の均衡も保てるようになった.

 プラットホームによる開発が軌道に乗った2004年以降,携帯電話の利用者は使い慣れたユーザ・インターフェースへのこだわりがなくなった.また,もし品質に問題があっても携帯電話のメニューからソフトウェアを更新できるようになったので,この問題もなくなった.このため,機能やデザイン,色などが携帯電話の選択の動機になった.

●ソフトウェアとハードウェアのプラットホーム

 2002年初めころから提供されたソフトウェアのプラットホームは,仕様解釈のばらつきや開発スピードをある程度統一させた.携帯電話のOSもSymbianやLinuxなどが標準的に採用され,それらのOSに合わせて,各キャリアの仕様に対応したプラットホーム(MOAPなど)の開発が始まった.

 一方,携帯電話開発におけるもう一つの課題は,アプリケーション制御のチップセットと無線制御のチップセットを統合して,1チップ構成にすることであった.各チップ・ベンダは携帯電話向けの1チップのチップセットを開発し,OS/プラットホームごとに新しく携帯電話メーカに採用されていった.

 こうして,2002年後半~2003年前半にかけてソフトウェア・プラットホームとハードウェア・プラットホームがそろい,プラットホーム統合のゴールが見えてきたのである.

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