携帯電話プラットホームは技術者を幸せにしたのか?(1) ―― 今は昔,戦国時代の開発現場

吉田 昌平

tag: 組み込み

コラム 2008年8月18日

●開発競争と品質向上に苦しみながらの積み上げ開発

 このころは今と違って,販売後に致命的なソフトウェアの不具合が見つかると回収交換していた.そのため携帯電話メーカは,無駄な費用を出さないため,また,ブランド・イメージを上げるために,ソフトウェア開発の品質向上に注目しだした.

 多くの携帯電話メーカは1号機をうまく立ち上げてゆき,各社の開発手法,開発環境,ハードウェア構成,ソフトウェア構成を確立していった.その中では販売競争と開発競争が直結していたため,相当に無理な開発も存在した.

 当時の開発では,開発とテストの明確な役割分担がなく,開発者が製品のテストまで担当していた.問題が出たらその場で対応することができたので,不具合の発見から収束に至るまでの対応は確かに速かったが,確認試験などの工数が多くなると担当者の負担は相当なものになり,決して生産性が良いとは言えなかった.

 また,各メーカが独自の構成を持っているために,開発環境やツール,冶具もそれぞれのメーカごとに異なり,開発担当者がその環境や手順などを覚えるための導入の手間がかかっていた.

●機能増加に伴って開発規模が急拡大

 その後,携帯電話の画面のカラー化や大型化,ブラウザ/メーラの搭載など電話以外の機能が増えてくると同時に,ソフトウェアの開発規模は急激に大きくなりだした.

 携帯電話のサービス会社(業界用語では「キャリア」という)としては,当然,新しいサービスの開発に務め,それに対応した携帯電話を開発するように要求する.キャリアからの要求仕様が多くなり始め,携帯電話メーカはその対応にも追われることになった.

 ここで携帯電話メーカは,品質向上(信頼性)と同時に,その機種を宣伝できる新機能を盛り込むため,より短い間隔で新製品を開発する必要に迫られた.ほとんどの携帯電話メーカは,1号機で開発したソフトウェアにどんどん新しい機能のソフトウェアと過去の問題に対処したソフトウェアを積み重ね,次機種へのソフトウェアのベースとして利用していった.

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