初めての技術系コミュニティ活動(1) ―― 社外に同志を見つけよう

細谷 泰夫

 メールを出してしばらく経ったある日,分科会の主催の方から返信がありました.人数がちょうどそろったので,分科会開催のキックオフ・ミーティング(という名の飲み会)を行うとのこと.キックオフ・ミーティングの当日,筆者は期待と不安を胸に会場の居酒屋に向かいました.

 キックオフ・ミーティングには筆者を含めて6人のメンバが出席していました.年齢も20歳代から40歳代まで,業種もWeb系,組み込み系,業務系とさまざまな顔ぶれです.主催の方の進行の下,「なぜ分科会に参加を希望したのか?」,「TDDとのかかわりは?」などについて,自己紹介を交えながら話していきます.筆者は,異なる業種のメンバと話をするのは初めてでしたが,業種の違いで変わる部分,変わらない部分などを発見し,とても刺激的な集まりだったと記憶しています.この日は,分科会の進め方や題材とする書籍,次回開催日などを決定しました.いよいよ本格的なコミュニティ活動のスタートです.

●"技術"の話題で盛り上がる

 筆者の初めてのコミュニティ活動となった「C#におけるテスト駆動開発」の概要は以下の通りです.

  • 月1回のペースで集まる.
  • Kent Beck氏の著書「テスト駆動開発入門」を題材とする.
  • メンバが持ち回りで対象となる章をまとめてくる.
  • 本に記載されているサンプルはJavaだが,C#でコードを作成する.
  • 分科会の後は飲み会とする.

 月1回の開催なので,無理なく参加できました.また内容についても,メンバで討論することによって,より深く理解できるようになりました.しかし,筆者にとってなにより楽しかったのは,分科会後の飲み会でした.分科会が平日の19時~21時に開催され,その後は居酒屋で23時前まで飲んでいるのが恒例でしたが,面白かったのはその話題です.

 皆さんは,日ごろ職場などで飲み会に行くとき,どのような話をしていますか? 「仕事に関する話題」はあると思いますが,「技術に関する話題」は少ないのではないでしょうか.この分科会は「新しい技術を身に付けよう」という気持ちで,自分自身のための活動として参加しているメンバばかりだったので,飲みながらの話も「技術に関する話題」が満載です.アジャイル・プロセスやオブジェクト指向のみならず,ソフトウェア工学的なものまでと話題は幅広く,ときには白熱した議論となることもありました.この分科会は2年間活動しましたが,飲み会で得た新しい技術の情報や視点などは,筆者の中で今でも生きています.

●「人とのつながり」で広がるコミュニティ活動

 XPJUG関西の分科会で始まったコミュニティ活動ですが,数年で大きく活動の幅が広がることになります.

 活動の幅が広がっていく要因は「人とのつながり」です.筆者はもともとTDDについて深く理解したくてコミュニティ活動を始めたので,TDDに関する書籍も愛読していました.そんなあるとき,分科会のメンバの1人から「SEA(ソフトウェア技術者協会)関西というコミュニティで,TDD書籍の著者が講演する」という情報をもらいました.本の著者と直接話せる貴重な機会だと思い,講演会に参加しました.そして,講演後の懇親会でTDDについて情報交換することができ,その後もメールで意見交換などをしていただきました.

 これが筆者がコミュニティ活動を始めて,最初に「人とのつながりが広がっていく」と感じた出会いでしたが,このような出会いがここでは書ききれないくらいありました.今では,関西,関東,東海,北陸,九州とさまざまな場所に,ソフトウェアについて議論できる仲間がいます.このような仲間はコミュニティ活動を始めなければ決して得ることができなかったでしょう.

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