初めての技術系コミュニティ活動(2) ―― コミュニティで実践的スキルを身に付ける

西河 誠

 新しい開発手法や技術を身に付けたいとき,皆さんはどのようなアプローチをとりますか? 「書籍を読む」,「Webで調べる」,「社内で勉強会を開く」,「技術系セミナに参加する」,などでしょうか.しかし,新しい技術をいざ実際の開発(プロジェクト)に導入しようとすると,いろんな疑問や課題に直面します.「導入するときのコツは?」,「注意するべき点は?」,「これから先の技術展開は?」....

 実は,注目されている技術については,多くのエンジニアが効率的に知識を得たいと考えていますし,同じような疑問や課題を持っています.そんな,共通の目的を持った人たちが社外で集まって活動しているのが,技術系コミュニティです.

 技術系コミュニティが開催する勉強会の中には,その技術に単純に興味を持っている人から,実際に開発現場でその技術を使っている人,場合によっては,関連した書籍の執筆者が参加していることもあります.Webや書籍からだけでは得難い情報を的確につかみ,疑問や課題も共有し,みんなで解決するには最適の場といえるでしょう.また,思わぬ情報を得たり,人のつながりが広がるなど,期待以上の効果を体験することができます.

●行き詰まっていたとき,コミュニティに出会った

 筆者は家電メーカで組み込みソフトウェアの設計・開発を担当しています.家電の組み込みソフトウェアも急速に大規模化が進んでいます.システム設計の最適化や各種プロジェクト管理手法の導入などで対応しているものの,現場の開発者にはさらなる開発効率アップや品質の確保が求められています.筆者の所属する組織でも,プロジェクト・マネージメントの強化を中心に開発力の強化推進に取り組んでいます.

 もともとトップダウンで始まった活動ということもあり,組織全体のプロセス改善は少しずつ進めていました.しかし,市場変化が激しく仕様変更が多発するプロジェクトでは,計画変更やリスク管理が十分に行われないまま,人依存(残業や休日出勤,人海戦術テストなど)で進めてしまうなどの問題も残っていました.開発のペースも早くなる一方で,改善による効率化の効果も実感としては感じ難く,現場のメンバの改善に対するモチベーションもなかなか上がりませんでした.計画達成のための「管理」だけでは対応が難しい場面も数多く見受けられます.

 プロジェクト・マネージメントによる現場の改善に少し行き詰まりを感じていたときに,会社の組織横断的にプロセス改善に取り組んでいる方から,「プロジェクト・ファシリテーション(PF)」という考え方を教えてもらいました.早速,Webサイトに掲載されている,PFの考え方をまとめたドキュメント「プロジェクトファシリテーション価値と原則編」を読みました.ここには,簡単に言うと次のようなことが紹介されています.

  • メンバのスキルを最大限に引き出し,プロジェクトを成功させる
  • その「目的」を達成するために,プロジェクトを活性化させ,自律的チーム運営を促すための「価値」,「原則」というフレームワークを置く

 計画達成のためのマネージメントで「管理」だけに注力するのではなく,メンバ全員が自律的にプロジェクトを回していくことで,より円滑にプロジェクトを運営できます.メンバも,自分のスキルが発揮できて,開発に対するモチベーションも高まるはずです.これまで感じていた課題解決の答えがここにあるように感じて,すぐに関心を持ちました.

 PFを提唱する平鍋 健児さんの現場での事例紹介プレゼン資料も公開されているので,自分のプロジェクトでできそうなものは実験的に取り組んでみたりもしていました.

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