オリジナルOS「MicrOS」の設計と実装(1) ―― MicrOSの概要とソースの概観

田口 信夫

tag: 組み込み

技術解説 2008年2月 8日

Interface誌2007年5月号付属のV850マイコン基板で動作するオリジナルOS「MicrOS(マイクロス)」が登場した.MicrOSは ITRONに似た機能をもち,それでいてソース・コードは5000行程度と非常にコンパクトである.本連載では,MicrOSを題材にして組み込み向けリアルタイムOSの設計と実装について見ていく.  (編集部)

1-1.MicrOSとは何か

 この度,Interface誌2007年5月号付属V850マイコン基板で動作するオリジナルOSを作成しました.「MicrOS」という名前で,読者の皆さんにも使える形で公開しています注1

注1;MicrOSのソース・コードはCQ出版社のWebサイトよりダウンロードできる.

 MicrOSは本連載で扱うOSの名前です.V850で動作するように作られているので,「V850-MicrOS」と呼んでいます.MicrOSは,組み込みOSの作り方に付けた名前でもあります.なぜ組み込みOSの作り方に名前を付けたのかというと,組み込みOSの作り方を説明したかったからです.MicrOS方式によって構造が単純化され,組み込みOSを簡単に構成することができます.

 V850-MicrOSのサービスは機能的にはμITRON 3.0に相当します.MicrOSと同じような機能をμITRONのインターフェースに書き換えたとしても,大した作業にはなりません.現在のV850-MicrOSのシステム・コールは,μITRONの機能のうち比較的使用すると予想される機能を取り出して,それにMicrOS独自の機能を幾つか付け加えたと思っていただければ結構です.

 MicrOSにはアプリケーション・システム(ユーザ・アプリケーション)を構成する上でぜひ利用してもらいたい機能があります.それはMicrOSのデマンド・コールバック関数です.一言で言うと,デマンド型のシステム・コールとコールバック関数を組み合わせた機能で,タイマ制御やUARTの入力処理に利用できます.この機能を使うとタイマを使ったアプリケーションなどが単純化され,アプリケーション・システムの見通しをよくできます.このようにMicrOSは単なるμITRONのサブセットではなく,組み込みアプリケーション・システムの構成方法に提案を行っている部分も持っています.

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