パソコンに入力したメッセージを小型ファンに表示する装置の製作 ―― XPortとリレーを使って簡単に製作できる
米国Lantronix社のEthernet接続モジュール「XPort」を使って,メッセージ表示機能を持つ小型扇風機の表示内容を制御する. (編集部)
羽根にメッセージを表示できる小型扇風機(ファン)が,Webサイトや雑貨店などで売られています.筆者が買ったのは写真1の製品で,単3乾電池3本を使って動かします.数百円の値段にもかかわらず羽根にLEDアレイが付いています.回転時に点灯タイミングを調整することで,任意のアルファベット,数字,記号を表示できます.
表示文字の設定は,写真2の赤いボタンの操作で行います.例えばアルファベットのA~Zを,上ボタンを押した回数で決定するため,新規入力には手間がかかります.パソコンからの操作で任意の文字を表示できたら,表示文字をダイナミックに変更でき,新しい用途が広がります.そこで,米国Lantronix社のEthernet接続モジュール「XPort」を使って,写真3の装置を作ってみました.
輸入販売元は(株)ボーフォード・ジャパン.ひらがなを表示する機種もあるが,販売元は違う.
1,製作する装置を利用するための条件
●ハードウェア
1)パソコンとEthernet接続環境
Ethernet接続環境とWindowsパソコン(XPまたは2000)が必要です.また,今回の装置では,XPort用に固定IPアドレスが必要です.例えばパソコンに192.168.1.xxxを使っているならば,XPortは192.168.1.yyy(yyyは使用されていないアドレス)を使います.
2)パソコンにシリアル・ポートが必要
XPortにμITRON準拠のプログラムを書き込む際,パソコンにシリアル・ポートが必要です.シリアル・ポートがないときは,USB-シリアル変換ケーブルとシリアルのクロス・ケーブルを用意します.
●ソフトウェア
1)DeviceInstaller
DeviceInstallerはXPortを保守するためのソフトウェアです.ここからダウンロードします.WindowsXP/2000に対応しており,2007年7月時点ではWindows Vistaには対応していません.DeviceInstallerに関する日本語の説明があるので,これを利用するとインストールが早いと思います.
2)ターミナル・ソフトウェア
ターミナル・ソフトウェアは,寺西 高氏の「Tera Term Pro2.3」を使用させていただきました.フリーのソフトウェアで,ベクターなどから入手します.
3)tftpサーバ
tftpサーバは,hirazo氏の「Poor TFTPサーバ」を使用させていただきました.フリーのソフトウェアでベクターなどから入手します.
4)XPort用のプログラムは準備済み
本稿ではファン操作専用のXPortプログラムを用意しています.ご自身でプログラムを変更する場合は,XPort用μITRON対応開発キット(有償)が必要になります.