パソコンに入力したメッセージを小型ファンに表示する装置の製作 ―― XPortとリレーを使って簡単に製作できる
4,プログラムの準備と操作
●プログラムについて
基板が完成したらまず,グラウンドと5V,グラウンドと3.3Vが短絡していないかを確認し,ファンを接続せずに基板としての動作確認を行います.XPortのプログラムを書き込む手順は,コラムとして用意しました.ここではプログラムを書き込んだ後の操作について説明します.
●XPortの操作テスト
ターミナル・ソフトウェアのTera Term Proを起動し,XPortのIPアドレスとポート番号10001を指定します.XPortと接続できると,何も表示されないウィンドウが表示されます.ここに例えば, 「C」(大文字)や「1」を入力し,リレーがカチカチと動くことを確認します.
1)文字「C」入力
RL2の4ピン-8ピン間の短絡が,2秒,2秒,0.2秒,2秒発生.
RL1の4ピン-8ピン間の短絡が,2秒,0.2秒×3回発生.
2)文字「1」入力
RL2の4ピン-8ピン間の短絡が,2秒,2秒,0.2秒,2秒発生.
RL3の5ピン-10ピン間の短絡が,0.2秒×7回発生.
3)文字「>」入力
「>」入力前は,RL1とRL2の11ピンが5V.
「>」入力後は,RL1とRL2の11ピンが0Vとなる.
スペースを入力するとRL1とRL2の11ピンが5Vに戻る.
出力電圧をマルチメータで確認しました(写真9).ファン側の信号線をまとめた連結ピンに接続するために,基板にはICソケットを切断した部品を付けています.動作確認後に写真10のようにファンを装着しました.この時点でパソコンからのシリアル接続は外しています.
[写真9] マルチメータを使って動作確認
[写真10] 製作した基板とファンを接続
●文字表示確認
Tera Term Proを再起動して,XPortのIPアドレスとポート番号10001を指定します.任意のテキスト・エディタで「KUMIKOMI-NET」,「2007.08.01」などと書いて,Tera Term Proのウィンドウにコピー&ペーストします.ファンに文字が表示されることを確認しました.
表示可能な文字はアルファベットの大文字,数字,#,$,&,+,-,=,カンマ ,ピリオド,@,\,?の記号で,表示できない文字はスペースです.最大16文字分表示できます.
telnetを切断している状態でもファンは回転し,表示を継続します.ファンの回転を止める場合は「>」を入力します.ファンの回転を止めたままでtelnetを切断すると,止めた状態を継続します.再びログインすると文字を入力できます.
●応用するとこんなことができます
1)測定値表示
ほかのXPortに温度センサを付け,測定結果をEthernet経由で送信し,センサの測定結果をファンに表示します(写真11).「POINT A = 30.5C」と表示しています.
写真11の例では,送信側のXPortに,写真12のLM74(米国National Semiconductor社)というディジタル温度センサを取り付けています.XPortが汎用I/Oを操作して温度を読み出したあと,ファン側のXPortに表示データを送ります.
[写真11] 温度測定結果を表示した例
[写真12] 温度センサには米国National Semiconductor社のLM74を利用した
温度センサ側のXPortも専用プログラムを利用しています.センサ側から温度情報をメールで発信(SMTP)し,ファン側にてメールを受信(POP3)することで,インターネットを介して安全に通信できます.
2)インターネット上の情報表示
パソコンからドル-円レート,株価などを周期的にファンに送って表示させます.円の価格を見るたびに暑い日もヒヤリと涼しく?過ごせます.写真13では「AM1128 $\120.84」と表示しています.AM11時28分 1$=120.84円という意味です.
XPortが直接,インターネットの情報を自動チェックして円相場や株価などを表示させる方法もありますが,まだ作っておりません.
[写真13] 為替レートの表示例