OCP(Open Core Protocol)技術解説 ―― CPUに依存しないオンチップ・バス・プロトコルがマルチコアを効率良く動作させる
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OCP-IPのメンバと活動
OCP-IP(OCP International Partnership)は,OCP規格の標準化を推進している非営利の国際機関です.運営メンバは米国Flextronics
Semiconductor社,フィンランドNokia社,米国Sonics社,STMicro-electronics社,米国Texas Instruments社,台湾UMCの6社であり,OCP-IPのメンバは約70社です(2003年7月現在).OCP-IPのメンバ・レベルには,一般企業向けのレベルや大学向けのレベルなどがあり,さまざまなメンバによって構成されています(表A).
さらにOCP-IPでは,OCP規格に準拠していることを検証するツール(CoreCreator)の提供や,技術サポート,トレーニングなどを行っています.また,OCP以外のバス・プロトコルの信号をOCP仕様に変換するラッパ(wrapper)回路をメンバに対して無償で提供しています.
機器メーカ | フランスAlcatel社 フィンランドNokia社 米国Mentor Graphics社(Inventra Intellectual Property Division) |
IPベンダ | 米国MIPS Technologies社 米国Sonics社 |
半導体メーカ | カナダATI Technologies社 米国Flextronics Semiconductor社 米国LSI Logic社 オランダPhilips Semiconductors社 STMicroelectronics社 米国Texas Instruments社 |
ファウンドリ | 台湾TSMC 台湾UMC |
EDAベンダ | 米国CoWare社 米国Denali Software社 EDAベンダ 米国Synopsys社 米国Verisity社 |
設計コンサルタント | 英国Beach Solutions社 ユーゴスラビアHDL Design House社 |
大学,研究機関 | 台湾National Tsing Hua University(国立清華大学) スウェーデンRoyal Institute of Technology 半導体理工学研究センター(STARC) 大学,研究機関 フィンランドTampere University of Technology ブラジルUniversidade Federal de Campina Grande カナダUniversity of British Columbia |
〔表A〕OCP-IPのメンバの例(■■は運営メンバ)
米国Sonics社が提供するインターコネクトIPとGUI開発環境「SOCCreator」(図A)を用いると,ほぼ自動でIPコアの統合が可能となります.SOCCreator上で,OCPインターフェースを持ったコアからほかのコアを呼び出し,Sonics社のインターコネクトIPと接続してパラメータ設定を行います.これにより,その設定に最適化されたシステムLSI全体のRTL(register transfer level)のHDL記述が得られます.
IPコアとSonics社のインターコネクトIPの境界はOCPインターフェースによって明確に規定されています.派生品種を開発する際,コアを追加したり削除する場合でも,そのほかのコアはいっさい修正する必要がありません.追加したいコアを追加し,削除したいコアを削除するだけで,派生品種のシステムLSIを開発できます.